「コンピュータ」から「コンピューター」へ
2008年7月25日、マイクロソフト株式会社は「マイクロソフト製品ならびにサービスにおける外来語カタカナ用語末尾の長音表記の変更について」というテクノロジーポリシーを発表した。(プレスリリース)。既に、ヤフーニュースやはてなブックマークなどでも話題となっているトピックでもあるが、今回発表にいたった経緯と今後の影響について簡単にまとめていきたい。
このテクノロジーポリシー(テクノロジポリシではなく)では、コンピューター(コンピュータではなく)が広範に普及するにつれ、末尾の長音を省略する表記に対して、ユーザー(ユーザではなく)の違和感が増大しているため、より発音に近い表記を採用したという。新表記は新聞・雑誌やTVでも原則とされており、同業界内の多くのメーカー(メーカではなく)でも採用されており、ユーザーフレンドリー(ユーザフレンドリではなく)だとしている。
確かに、普段あまりコンピューターに触れてない人にとってしてみれば、なぜコンピュータが大好きな人は「ドライバ」「マネージャ」「マスタ」と語尾を切り捨ててしまうのかと、不思議に思っていることだろう。もっとも「データセンタ」「フロッピ」あたりになると、IT業界歴の長い記者でも、書いててなんだか別モノのような気がしてくる。なかには語尾だけでは満足できず、「パラメタ」「インタネット」と長音を徹底的に排除してしまう完ペキ主義者もこの業界には散見される。
一方で「プリンターのバッファーがね…」と質問してくる営業に内心「このトーシロがなにを悠長にしゃべってんだ」とイラついたSEもいるだろうし、社長が「データーセンター」「データーセンター」と余分な「ー」付きで訓示するたびに「“DATA”に“R”はつかねえ!」と胸の奥の辞表を叩きつけているCTOもきっとどこかにいるに違いない。このように語尾の長音は、コンピュータ/コンピューター業界の内と外を分ける小さな壁として機能してきた。今回のMSの発表は、この壁を取り去ろうとする重大な決定だと言えるだろう。