駅弁愛が凝縮されたブログ「駅弁大会への道」
1月は駅弁の季節(シーズン)だ。正確には「駅弁大会」の季節である。もっと厳密には「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会」の季節なのである。駅弁大会は今年(2009年)で44回目を迎える京王百貨店新宿店の名物催事で、駅弁を主体とした物産展としては日本随一の規模と知名度をほこる。日本各地から200種類もの駅弁を集め、13日間で約6億円を売り上げるという。
京王百貨店が全社を挙げて取り組む催事であり、百貨店店頭だけで数万枚を配布するチラシや、新聞の折り込み、はたまたカード会員向け小冊子、新聞雑誌テレビラジオなどさまざまなチャンネルを使ってプロモーションが行われる。ウェブサイト「駅弁大会への道」も、そのひとつのチャンネルとして機能している。
百貨店業界のなかでも、京王は中高年をメインターンゲットとしているところに独自性があり、ポストバブル期の新宿百貨店戦争をシニア女性に絞った売り場戦略で生き抜いてきたと言われる。そのため、駅弁大会でも、平日の午前中に行列を作っているのは、毎年の常連とおぼしきシニア層が目立つ。
しかし、なんといっても最高で日に11万人が訪れる駅弁大会である。リピーターのみならず、テレビやネットでたまたま開催を知った幅広い層が訪れる。その広がりに「駅弁大会への道」はひと役買っている。
近年はテレビで見た商品をそのままネットで検索して検討するというコンシューマーの導線があきらかになっているが、駅弁大会でもワイドショーの中継が入っているときには、サイトのPVがリアルタイムでグングンと伸びていくそうである。今年の初日も、昨年比でも25%増のPVを記録している。もはや駅弁大会のためのインフラであり、「やめたら怒られるレベル」と北島氏が語るほどだ。
駅弁初心者へのやさしい情報も発信
実際に「駅弁大会への道」ブログにアクセスしてみると、わずか2週間のイベントのブログにしてはコンテンツがとても充実していることに驚かされるだろう。ネットならではのリファレンス性やアーカイブ性を活かし、とくにサイドバーにジャンル分けされている「初心者ガイド」には、取材に同行していただいたmixi「京王駅弁大会」コミュ管理人のダリ夫氏も絶賛しきりであった。
初心者向けの「基本アドバイス」としては、折り込みチラシの重要性、買いやすいタイミングの指南、買い出しのコツ、会場でのTIPSなどが事細かく伝授されている。これまでは口コミベースで集合知的に共有されてきたようなさまざまなノウハウが、ここでは公式コンテンツとしてきちんとまとめなおされているのだ。