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インターネット見聞録

「続きはテレビで!」の衝撃
古田敦也×野茂英雄の記念番組が生んだ「続きは○○」の新境地


 「続きは○○で」。近年テレビCMでよく見かけたしかけだ。広告に限らず、コンテンツをネット上で「ちょいみせ」し、自社媒体に誘導、もしくは自社商品の購入へつなげるケースは非常に多いが、果たしてそれは正しい設計なのだろうか。放送前の番組コンテンツを大胆に見せ、ネット→テレビのしかけに挑んだ関西テレビのプロモーションに迫った。【連載バックナンバー】

関西テレビ50周年記念番組に特別なしかけを

 関西テレビ放送の開局50周年記念番組「開拓者 ~古田敦也が見たスポーツ界の革命児たち~」が、1月18日に放送された。日本プロ野球界を代表する捕手であった古田敦也氏が、かつてバッテリーを組んだこともある元大リーガーの野茂英雄氏をはじめとするスポーツ界の「開拓者」たちと対談するという魅力的なプログラムだが、この50周年記念番組のプロモーションウェブページもまた“開拓者”というべき挑戦がされていた。どのようなねらいがあったのか、関西テレビでウェブサイトを総括する横尾博臣氏に話をうかがった。

「続きはテレビで!」の衝撃

 「開拓者」のプロモーションサイトには、番組の目玉であるはずの古田氏と野茂氏の対談が実に4ページ、文字数にして7000文字にもわたって掲載されている。これはウェブに掲載される対談記事としては、かなり長いほうである。テレビ番組のメインコンテンツとなる対談を、これほどまとまって事前にオープンにしてしまうというのは、かなり大きなチャレンジではなかっただろうか。ネットで見たからテレビは見なくてもいいや、と視聴者に思われてしまっては元も子もなく、プロモーションとして意味をなさないからだ。

 つまり、ネットで見た視聴者をテレビの前まで引っ張ってこなければならないのだが、今回のプロモーションは実に絶妙な“引き”がされていた。4ページにわたる対談は、メジャーリーグにかける野茂の熱い思いを古田がうまく引き出してとても興味深く、つい「もっともっと」とページをクリックしていくと、最後に「この後、野茂が現役への熱い思いを語ります…! 続きは1月18日(日)16:05からの放送をご覧ください!」と実に“いいところ”でカットされている。しかも、ドジャースタジアムのフィールドに立つ野茂と古田のツーショットという魅力的な写真付きだ。

 対談をここまで読み進めたならば、このあとに最も熱い言葉を野茂が語るであろうということはすぐに想像できる。となれば、テレビを見る予定を立てるなり、録画予約するなりという行動につながる可能性は高いだろう。

 最近はすっかり定着したCMの手法に、ショートドラマやキャンペーンの前振りだけしておいて「続きはウェブで!」と視聴者を誘導するパターンがあるが、今回の関西テレビはその逆を行ったことになる。コンテンツを先にネットに出しておいて、「続きはテレビで!」

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モーリ・タロー(モーリ タロー)

フリーダムなIT系編集者・ライター
90年代半ばからIT系書籍編集者として『FreeBSD徹底入門』『ウェブログ入門』『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』などを手がける。
2008年に独立し、ソーシャルメディア、オープンソース関連を中心に執筆活動を行う。
2012年4月から、株式会社はてな シニア・エディター。

●hatena: http://www.hatena.ne.jp/mohri
●twitter: http://twitter.com/mohri
●Facebook: http://www.facebook.com/imkt5l

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MarkeZine(マーケジン)
2009/02/10 14:49 https://markezine.jp/article/detail/6529

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