リテールメディアのメリットは「消費者の目に届く場所に商品情報を置けること」
両社のリテールメディアの広告効果についてはどうか。
ツルハグループの広告の特徴は、自社内だけではなく主要SNSメディアにも展開できること。ある洗口液メーカーは、来店促進と自社ブランドの購買促進に向け、ツルハグループのプラットフォームを活用した広告を行ったという。まず購買データを活用し、競合商品の購買者と、かつてその企業の商品を買っていたけれど最近購入していない顧客を抽出してターゲティングし、YouTubeやFacebookなどのSNS広告を展開したところ、販売個数が130%アップ、伸長率もその商品カテゴリ全体の伸長率102%と比較し、130%と大きな成果を上げた。また新規層の獲得も前年比204%、ブランド継続率も前年比130%となった。
さらに、店内にある棚前サイネージでオーラル商品の広告を配信したところ、広告認知はプラス43%、購入検討もプラス30%となった。商品売上もプラス11.2%、新規購買率がプラス36.2%と成果が出たという。

こうした成果について、小橋氏は次のように話す。
「どんなにいい商品でも、その商品に関する情報を消費者の方の目に触れるところに置いておかないとすぐに忘れてしまいます。そのため今は多くの消費者が集まるSNS上に商品情報を提示することは必須です。また商品を選ぶ最後のポイントの近くで、いかに自然に商品の魅力を伝えていくかという点も重要なポイントだと思います」
店内サイネージ+デジタル広告の併用で広告効果は大きく向上
一方のファミリーマートでも、売上効果、新規・休眠ユーザーの掘り起こし、リピート購入で高い広告効果を上げている。
ファミリーマートでは、ある紅茶系飲料の広告をデジタル広告と店内サイネージで展開した。施策実施後、商品認知や興味度、購入意向を聞いたところ、いずれも広告接触者で目立ったリフトがあったが、「デジタル広告のみ」の接触者に比べ、「デジタル広告+店内サイネージ」の両方で接触したユーザーが最も高いリフトを示したという。実際の購入率でいうと、非広告接触ユーザーの4.2%に対し、デジタル広告接触者は14.4%、デジタル広告+店内サイネージの接触者は18.7%だった。
またデジタル広告とサイネージの同時出稿により、「紅茶飲料購入が1カ月に1本以下」という低関与ユーザーにも強力なアプローチを実現。広告非接触者の購入率1.1%に対し、同時広告接触者の購入率は13.0%と大きな差が出たという。

購買実績がない層に対して拡張推測で広告を配信したところ、購買率が1.9倍という成果が得られた。「新規層にアプローチする歳、販促費を抑えながら成果を上げるためにも拡張機能の活用はお勧めです」と国立氏は話す。
最近では、ファミペイアプリのなかに、広告主が出稿できる「ブランドページ」機能を搭載した。ブランドページの閲覧者と非閲覧者でリピート購買者を比較したところ、1個以上では6.4倍、2個以上は9.3倍、3個以上は10.4倍にもなった。
「小橋さんの話にもあったとおり、やはり常時情報に接しているとその商品に愛着が湧いたり、買いたいというワクワクした気持ちが生まれたりするので、そうした体験をいかに作っていくかが大事になります」(国立氏)