たった5人で初のマーケティング組織を立ち上げた三井住友海上
傷害保険しかり火災保険しかり、損害保険は概して消費者に興味関心を持たれにくいカテゴリだ。自動車保険であれば、自動車を購入する時にカーディーラーや中古車販売店、整備工場などからおすすめの自動車保険を提案され、勧められるままに加入することが多い。つまり、認知度やブランド云々ではなく、フィジカルアベイラビリティの影響が圧倒的に強い。
ゆえに、損害保険業界では「マーケティングなんて意味がない」と長らく言われ続けてきた。
しかし、近年はこの業界も大きく変わっている。消費者の情報収集・購買行動が変わったからだ。自動車保険においても、最近はディーラーでお勧めされた通りに加入しない消費者が出てきた。いったん持ち帰り、ネットで検索をして、商品の比較検討をするのだ。これにともない、三井住友海上のような代理店系からダイレクト系の商品に流れる顧客も増えている。
代理店系の保険会社は、いま変わらなければ生き残れないのではないか? 木田氏はそんな危機感を持っていたという。
そうした背景のもと、2021年10月、三井住友海上は初めてマーケティング組織を立ち上げた。とはいえ、伝統的な日本企業、いわゆるJTC企業の中で「前例のないこと」「現状と異なること」を進める難しさは並大抵でない。
木田氏は「人材」「組織」「環境」の3点にフォーカスし、これらへのテコ入れを同時進行で進めていった。
1.人材:データ活用ができるCX人材を3年間で約1,200人育成
2.組織:各所の課題をデータドリブンに解決し、信頼と期待の種をまくことで、マーケティング組織の規模・領域を拡大
3.環境:代理店経由だった顧客接点を強化し、顧客/現場の声をもとにコンテンツを制作