SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

エビデンスベーストマーケティングの基礎

JTC企業の創造的破壊 たった5人からスタートした三井住友海上火災保険“初”のマーケ組織の成長・拡大

 2024年12月、法政大学で「エビデンスに基づくマーケティング これまでの常識を疑え」と題したシンポジウムが開催された。YouTubeライブで同時配信もされたこの会には、本連載の著者である芹澤連氏に加え、中央大学名誉教授の田中洋氏、三井住友海上火災保険のCMO木田浩理氏も登壇。それぞれの立場から、エビデンスベーストマーケティングの実践に向けた解説や議論が行われた。本稿では、その中から三井住友海上 木田氏による講演をレポート。エビデンスベーストマーケティングの基礎を解説している本連載の特別編として、実際にエビデンスベーストマーケティングの視点をもってマーケティングを行えるようになった三井住友海上の取り組みを紹介する。

たった5人で初のマーケティング組織を立ち上げた三井住友海上

 傷害保険しかり火災保険しかり、損害保険は概して消費者に興味関心を持たれにくいカテゴリだ。自動車保険であれば、自動車を購入する時にカーディーラーや中古車販売店、整備工場などからおすすめの自動車保険を提案され、勧められるままに加入することが多い。つまり、認知度やブランド云々ではなく、フィジカルアベイラビリティの影響が圧倒的に強い。

 ゆえに、損害保険業界では「マーケティングなんて意味がない」と長らく言われ続けてきた。

 しかし、近年はこの業界も大きく変わっている。消費者の情報収集・購買行動が変わったからだ。自動車保険においても、最近はディーラーでお勧めされた通りに加入しない消費者が出てきた。いったん持ち帰り、ネットで検索をして、商品の比較検討をするのだ。これにともない、三井住友海上のような代理店系からダイレクト系の商品に流れる顧客も増えている。

三井住友海上火災保険株式会社 CXマーケティング戦略部長 CMO チーフビジネストランスレーター 木田浩理氏
三井住友海上火災保険株式会社 CXマーケティング戦略部長 CMO チーフビジネストランスレーター
一般社団法人日本エビデンスベーストマーケティング研究機構 代表理事 木田浩理氏

 代理店系の保険会社は、いま変わらなければ生き残れないのではないか? 木田氏はそんな危機感を持っていたという。

 そうした背景のもと、2021年10月、三井住友海上は初めてマーケティング組織を立ち上げた。とはいえ、伝統的な日本企業、いわゆるJTC企業の中で「前例のないこと」「現状と異なること」を進める難しさは並大抵でない。

 木田氏は「人材」「組織」「環境」の3点にフォーカスし、これらへのテコ入れを同時進行で進めていった。

1.人材:データ活用ができるCX人材を3年間で約1,200人育成

2.組織:各所の課題をデータドリブンに解決し、信頼と期待の種をまくことで、マーケティング組織の規模・領域を拡大

3.環境:代理店経由だった顧客接点を強化し、顧客/現場の声をもとにコンテンツを制作

次のページ
CX人材5,000人育成を目指す

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
エビデンスベーストマーケティングの基礎連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

那波 りよ(ナナミ リヨ)

フリーライター。塾講師・実務翻訳家・広告代理店勤務を経てフリーランスに。 取材・インタビュー記事を中心に関西で活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2025/01/15 08:30 https://markezine.jp/article/detail/47813

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング