マイクロインフルエンサーの定義と特徴
マイクロインフルエンサーとは、InstagramやX(Twitter)、YouTube、TikTokといったSNSのフォロワー(ファン)数がそれほど多くなくても、特定のジャンルで知名度があるインフルエンサーを指します。コメント数が多いなどフォロワーとの距離が近く、エンゲージメントが高いのも特徴です。
インフルエンサーとは? 種類と特徴
インフルエンサーとは、影響(influence)から派生した言葉で、周囲に大きな影響を与える人を指します。発言が拡散されたり、その人がおすすめするものが注目されるといった現象を起こす人のことで、近年インフルエンサーを活用したマーケティング活動が活発化しています。
一言でインフルエンサーといっても、フォロワー数に応じて大きく下記の4つに分類されます。
メガ(トップ)インフルエンサー
100万人以上のフォロワーを持つインフルエンサー。芸能人などの著名人で元々名が知られている人が多く、高い情報発信力があります。フォロワー数が多いだけにフォロワーとの関係性は薄くなりがちですが、メガインフルエンサーの発信がテレビや記事などになる可能性があります。
ミドル(マクロ)インフルエンサー
10~100万人のフォロワーを持つインフルエンサーを指します。メガインフルエンサーに比べ、テレビなどの露出は少なくなりますが、特定のジャンルでは高い認知度を誇るカリスマ的な存在です。書籍出版や企業とのコラボレーション経験があるインフルエンサーもいます。

マイクロインフルエンサー
フォロワー数は1~10万人となり、ミドルインフルエンサーよりもさらに細分化された特定ジャンルにおいて認知度や人気が高いインフルエンサーです。近年はマイクロインフルエンサーが注目されており、企業とのコラボレーション経験を持つ人も増えています。
ナノインフルエンサー
数千~1万人のフォロワーを持つインフルエンサーです。活躍するジャンルがマイクロインフルエンサーよりもさらにニッチになり、そのジャンルに興味を持つ母数も広く一般的な物に比べて少なくなります。その分、ジャンル内での認知度は高く、フォローをしていなくても知っていることがあります。フォロワーとSNS上でやり取りをするなど距離が近いのも特徴です。
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マイクロインフルエンサーの特徴、メリット
インフルエンサーを活用したマーケティングにおいて、マイクロインフルエンサーには大きな期待が寄せられています。メガインフルエンサーやミドルインフルエンサーではなく、なぜマイクロインフルエンサーが着目されるのか。特徴やメリットを紹介します。
ジャンルの細分化により、コアなユーザーにリーチできる
マイクロインフルエンサーの特徴の一つが、特定のジャンルで活躍している点です。たとえばファッションと一言でいっても、そのカテゴリーは世代別、系統別など細かなジャンルに分かれます。ファッションに限らず、好みのはっきりしているジャンルであればあるほど細分化されるものです。自分の好きな系統のインフルエンサーへの好意や信頼は高くなり、インフルエンサーがおすすめするものであれば自分も試してみたいと思ってもらえる可能性も増すのです。
ジャンルの元々の知名度がそれほど高くないものであれば、普段なかなかリーチができないユーザーに、マイクロインフルエンサーを通してリーチできるようになります。

費用を抑えられ、コストパフォーマンスが高い
インフルエンサーを活用したマーケティングでは、一般的にフォロワー数に応じて費用が計算されます。メガインフルエンサーやミドルインフルエンサーよりもフォロワー数が少ないマイクロインフルエンサーは、その分費用を抑えることが可能です。
また、フォロワー数に応じて費用が変わるため、予算に応じたマーケティング展開ができる利点もあります。自社の扱うジャンルが、もともと裾野の広いグルメやファッション、美容といったものであれば、ジャンルを細分化してフォロワー数の調整が可能です。5万人規模のマイクロインフルエンサーと、1万人規模のマイクロインフルエンサーを複数人活用するといった組み合わせでマーケティング活動ができます。
コミュニケーションが活発で、フォロワーとの距離が近い
インフルエンサーとフォロワーの距離感は、フォロワー数に比例するのが一般的です。活発にコミュニケーションをはかるメガインフルエンサーもいますが、すべてのフォロワーに対応することは難しいのが実情です。フォロワー数が1~10万人ほどであれば対応もしやすく、ほかのフォロワーとのやり取りを見ているだけでも好感度や親密度が高まります。そして、コミュニケーションが活発な人だからこそ、フォロワー数を万単位にまで伸ばせたともいえます。
企業とのコラボレーション経験があり、仕事がしやすい
マイクロインフルエンサーを活用したマーケティング活動が活発化しているため、企業とのコラボレーション経験のある人が増えています。企業の狙いや求める成果、打合せの段取りや契約内容といったコラボレーションをするうえで必要な点を抑えている場合も多いのです。
また、ジャンルの規模としても、ある程度の裾野の広さがあるため、該当するジャンルのマイクロインフルエンサーが複数人いる点もメリットです。より自社のカラーに近い人を複数人から選ぶことができます。
このようにマイクロインフルエンサーは、コスト面から鑑みて起用しやすいメリットがあるほか、仕事がしやすい点も特徴です。

マイクロインフルエンサーはBtoBにも活用できる
これまで挙げてきたマイクロインフルエンサーの特徴やメリットは主にBtoCで指摘されているものですが、これらの内容はBtoBにも共通しています。なぜなら、近年は業務に関連した調べ物をSNSで行う人も多いためです。また、その業界が好きで、その業界に関係するジャンルの情報を発信している人を個人的にフォローしている人も数多くいます。BtoBでインフルエンサーを活用したマーケティングを行う場合は、業界の人であっても「いち個人」である点を踏まえて進めていくとよいでしょう。
BtoBでインフルエンサーマーケティングを行う場合、すでにそのジャンルでマイクロインフルエンサーとして活躍している人とコラボレーションするほかに、自社でインフルエンサーを育てる方法もあります。業務・業界知識を持っている人が見るため、業界経験、正しい知識は必須であり、深い知見も求められます。自社内でそれらの知識を持つ人が情報を発信することで、フォロワーから信頼を得やすくなるなど、結果としてマイクロインフルエンサーの特徴を備えた人材であるといえるのです
マイクロインフルエンサーの起用で注意すべきポイント
マイクロインフルエンサーは、インフルエンサーに強いエージェントや専用ツールを活用するほか、地道にSNSで探して直接依頼する方法があります。特に、エージェントなどに登録していないマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーは多く、直接依頼を視野に入れる必要があります。
いずれにしても、人選や起用に関してはいくつかのポイントを押さえ、トラブルなく最大限の効果が発揮できるように事前の準備を整えておくことが肝要です。

自社の製品・サービスとの親和性を確認する
マイクロインフルエンサーは特定ジャンルに強い影響力を持っています。フォロワーから見たときに、投稿者と細かな好みが一致していたり、ニッチで必要な情報が得られたりするからこそ、高く信頼してファンとなるためです。それだけに、自社が紹介したいものとマイクロインフルエンサーの得意とするものとが微妙にずれていると、フォロワーに響かないどころか、後述する「ステマと思われ、正反対の結果になる」恐れも秘めています。
マイクロインフルエンサーの発信内容を過去に遡ってチェックするほか、そのフォロワーが自社のターゲットであるのか、自社の製品やサービスと親和性があるのかの確認は必須です。フォロワー数だけではなく、どのような人がフォロワーなのかの確認も必要です。
フォロワーとの継続的な関係性も重要
マイクロインフルエンサーの定義は1~10万人ですが、1万人と10万人ではフォロワーに対する対応のきめ細やかさに違いが出てきます。そこも加味しながら、フォロワーとどのようなやり取りをしているのか、頻度やコミュニケーションの取り方などをチェックする必要があります。
特に、SNSはちょっとした発言が突然注目され、急激にフォロワー数が増えることがあり注意が必要です。フォローしたものの、その後はほとんど見ていないといったフォロワーばかりでないか。マイクロインフルエンサーを探す場合は、一定期間の投稿をチェックしましょう。

マイクロインフルエンサーごとの特徴にも留意
マイクロインフルエンサーに数値などの資料を提出してもらう場合、フォロワー数や、インプレッション数、リプライ・シェア数だけではなく、Xであればブックマーク、Instagramであれば保存数なども参考にしたい項目です。これらを算出する、エンゲージメント率を聞いておきます。
ブックマークや保存数に関しては、いいねなどの反応を返していなくても、保存をして見返すフォロワーもいます。コメントを付けるようなアクティブなフォロワーが多いインフルエンサー、コメントは少ないもののいいねや保存率が高いインフルエンサーなど、人によって異なるフォロワーの特徴も見極めていくことが大切です。
ステマに敏感なSNSフォロワーに誤解を与えない
2023年10月より景品表示法が変わり、ステルスマーケティングに関する法規制が始まりました。インフルエンサーに自社製品やサービスについて発信してもらう際には、必ず「PR」の表記を付けてもらうようにしなければなりません。
ステルスマーケティング(通称:ステマ)は広告や宣伝であることを隠して行うため消費者、特にSNSを好む人からの嫌悪感や忌避感が強いといわれています。ステマであると思われてしまうと宣伝どころか、マイナスイメージを与えかねず、注意が必要です。
ここで重要なのは、実際にステマであるか、そうでないかではなく、「ステマだと思われること」がマイナスである点です。以前に自社製品・サービスを紹介してくれたマイクロインフルエンサーに依頼をするときは特に注意し、最初の投稿がステマではなくコラボレーションのきっかけであったことを事前に伝えるようにします。
参考
マイクロインフルエンサーの活用ポイント
注意点を踏まえ、マイクロインフルエンサーを活用する場合にも、いくつかのポイントがあります。
ビジネスパートナーであるインフルエンサーの自主性を大切にする
マイクロインフルエンサーの中にはすでに企業とのコラボレーション経験を持つ人もいます。これまでの経験を踏まえたアイデアを持っていたり、その人が持つ独自のコミュニティーを活用したりといった提案をしてくれる場合もあります。企業視点では気づかなかった指摘をもらえることも。案件を進めるにあたっては、企業側の希望を伝えてそのとおりに進めてもらうのではなく、マイクロインフルエンサーの意見やアイデアなどを取り入れて、基本的にはお任せしていく姿勢が大切です。
特に、紹介方法や言葉の選び方などを強要すると、マイクロインフルエンサーのモチベーションが下がってしまううえ、普段と異なる投稿になりフォロワーの反応が薄くなる可能性があります。どのような投稿内容がフォロワーに響くのかを知っているのは、マイクロインフルエンサー本人です。ビジネスパートナーとして尊重し、自主性を重んじて進めていくことが求められます。

ルールを明確化し、トラブルを軽減
マイクロインフルエンサーの自主性を大切にする一方で、「これはブランド的にやらないでほしい」「製品・サービスとして、その紹介方法はNGである」「コンプライアンスや法令に違反する」といった、やってはいけない点は明確にしておく必要があります。コラボレーション経験があるとはいえ、企業独自の社内コンプライアンスや、より専門的な内容について、企業外の人間であるマイクロインフルエンサーは精通していません。また、法規制などについても明るくないことが多いものです。わかりやすく整理して説明し、共通認識としてすり合わせるほか、ルール化して文章で記載しておくとトラブルを未然に防止できます。
しかし、これらのNG項目が多くなってしまうと、マイクロインフルエンサーらしさが薄れ、期待する反応を得られない可能性が出てきます。投稿内容に関するルールは最低限とし、ブランドイメージや方向性の共有のみにしておきましょう。
そのほか、投稿回数や投稿のタイミングなども事前に打ち合わせておきたい項目です。
従業員アドボカシーもインフルエンサーマーケティング
マイクロインフルエンサーのBtoB活用の章で触れたように、社内の人材をSNSに活用する「従業員アドボカシー」を行う企業も増えています。
以前から、アパレル業界や美容業界ではカリスマ店員が自社ブランドの広告塔として活躍していますが、SNSでも提案などを行い、インフルエンサーとして活動する人も多くいます。たとえば、資生堂では美容部員である「パーソナルビューティーパートナー(PBP)」を社内インフルエンサーとして育て、情報を発信。8万人以上 のフォロワーを持つマイクロインフルエンサーとして活躍しています。
従業員アドボカシーを成功させるには、まずは社内でSNSに関する研修を行ったり、活動する人のフォローや環境整備、報酬といった体制整備が必要です。長期的な戦略となりますが、成功した場合の効果は高いものとなります。
参考
KPI設定と効果測定方法
マイクロインフルエンサーマーケティングを成功に導くには、適切なKPI設定と効果測定が大切です。
適正なKPIを設定し、PDCAを回していく
KPIとは、最終的な目標に達成する前の細分化された目標値です。
インフルエンサーを活用して売上の増加、業績向上を狙うには、広く自社製品・サービスを知ってもらいたいのか、直接的な販売促進なのか。さらにそこに到達するためには、自社のSNSのフォロワー数を増やしたいのか、サイトへの訪問者を増やしたいのか。細かな目標を具体的に設定することで目指すべきものが明確になり、まずはメガインフルエンサーがいいのか、マイクロインフルエンサーがいいのかの判断材料にもなります。
これまでに述べた特徴やメリットから見ると、認知向上だけではなくフォロワーにもう一歩アクションを起こさせる影響力を持っているのがマイクロインフルエンサーです。投稿がどのくらい見られたのか、Instagramであればインプレッション数、Xであればリーチ数などのKPIを具体的な数値で定め、施策ごとにKPIを測定、PDCAを回していきます。
なお、SNSにおける効果測定には、次のようなKPIがあります。
- 認知:リーチ数、投稿閲覧数など
- 興味関心:いいね数、コメント数、保存数、UGC数、URLからの遷移数など
- 比較検討:滞在時間、読了率、視聴完了率など
- 購買:CV数、登録数など
プラットフォームによって異なるKPIの指標
SNSにおけるKPIの指標は、プラットフォームによって変わります。InstagramにはXにない「リール動画再生数」や「ハッシュタグ数」があり、Youtubeには動画の視聴者の実人数である「ユニーク視聴者数」があります。TikTokであれば「平均視聴時間」なども指標の一つといえます。自社のSNSに誘導したい場合には、自社のフォロワー数を具体的な数値で目標化し、そのためには何人のマイクロインフルエンサーの協力を得るべきなのかを探っていくのです。
SNSはKPIの効果測定がしやすい
KPIの測定には、SNSの分析ツールを使う、SNSで案内するURLにパラメーターを付けてGoogleアナリティクスなどで分析するといった方法があります。具体的な数値が決まっていれば、効果測定しやすいのがインフルエンサーマーケティングです。
しかし、注意したいのは数値では見えてこない効果もある点です。特にマイクロインフルエンサーはフォロワーへの影響力が高く、数値としての反応が鈍くてもフォロワーに影響を与えている可能性もあります。そういった目に見えにくい効果をどのように拾い上げていくのか。協力者であるマイクロインフルエンサーと意思疎通を重ねて進めていくことが肝要です。

まとめ
今、プッシュ型で配信されるCMや広告をシビアな目で見る人が増えています。一方で、マイクロインフルエンサーは自分が見つけた情報発信者であるため、より身近に感じて信頼しています。嗜好が細分化する現代において、消費者の嗜好が一致するマイクロインフルエンサーは頼もしい存在です。ポイントを押さえ、マイクロインフルエンサーをマーケティングに活用してみましょう。