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事業成長に役立つ「ブランド投資」を考える

ブラントと営業の理想的な相互作用とは?営業の生産性を向上するブランド投資事例

ブランド投資で生産性を向上した3つの事例

 ここからはセブンデックスが営業組織支援を行った事例を紹介します。

 1つ目は、営業組織に向けてブランド思考のインストールをした大手ITベンチャーの事例です。営業メンバーを含む社内メンバー向けに、自社ブランドの「らしさ」を抽出するワークショップを実施し、ブランド理解を深めてもらいました。その結果、ワークショップに参加した営業メンバーがエバンジェリストとなり、現場の新メンバーに自社のブランド価値を伝えられるようになりました。

 2つ目は、創業50年以上の歴史を持つ総合ITサービス企業のコンサルティング事業部の事例です。新規リードの獲得を目的に、同社の事業がわかりやすく伝わり、かつ競合他社と比較した際の独自性が表現されたブランドサイトを制作。営業担当の説明コストの軽減や、潜在顧客へのアプローチにつながりました。

ブランドサイト
ブランドサイト

 3つ目は、インフラ業界における大手メーカーの事例です。名刺獲得の重要な機会である展示会イベントの接客オペレーション構築と、パンフレット制作を行いました。オペレーション構築では、当社のブランド価値をもとに、接客する相手にあわせた掴みや事業の訴求ポイント、今後のために収集しておきたい質問集、商談につなげる提案文言をフローチャートに整理。名刺獲得数は過去最高を記録しました。

展示会のオペレーション設計
展示会のオペレーション設計

 ブランド投資が、営業数値にどの程度影響を与えるかを測定するのは難しいものの、名刺獲得などのKPIに落とし込むことで、一定の効果を可視化できています。

営業起点でブランドを育てる

 最後に理想的な「ブランドと営業の相互作用」と、そこに対する「マーケターの関わり方」について、私の考えをお伝えしたいと思います。

 本稿ではブランドによる営業の生産性の高め方について語ってきましたが、同時にブランドをつくる起点となるのも営業であると考えています。営業は企業において顧客に最も近い場所に位置します。機能的な価値だけでなく、情緒的な価値を含めて、何がどのような顧客に響いているのかを理解しているのは営業組織です。

 一方、営業は売上目標の達成を求められる立場だからこそ目の前の数字に意識が向きがちです。テレアポの件数や訪問数などの行動KPIの達成を優先するのは、現場の営業担当にとっては最適な選択であると思います。しかし、数字を追うあまりブランドを毀損してしまっては元も子もありません。少なくとも営業組織を束ねたり営業戦略を考えたり立場の方は、ブランドと営業の力をどう掛け合わせるかを意識することが重要です。

 ブランド投資で営業生産性を高めると同時に、現場で集まる一次情報をもとにブランドを磨いていく。その循環ができれば、より顧客に刺さるプロダクトやカスタマーサポートが実現でき、顧客満足度と継続率が高まることで、営業目標の達成も容易になります。これが「ブランドと営業の理想的な相互作用」だと考えます。

 また、この循環を実現するのに欠かせないのは、ブランドと営業との架け橋になるマーケターの存在でしょう。マーケターは営業が現場で得た情報をブランドの訴求やクリエイティブの改善などに活かしていくことが大切です。

 ブランドづくりに取り組む企業は多くありますが、営業とマーケターの連携によって、ブランドを柔軟にアップデートし続けている企業の事例はまだ多くありません。「ブランドづくりと営業組織をマーケターがつなぐ」ことが、営業課題に悩む大企業の処方箋となるのではないでしょうか。

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この記事の著者

下倉 拓人(シモクラ タクト)

新卒でITベンチャーに入社し、データアナリストとして広告プロダクトのグロースを主導。その後、教育系スタートアップにてマーケティング責任者として事業成長に貢献。戦略策定から実行までの一貫した経験を活かし、現在はセブンデックスのビジネスディレクターとして、マーケティング・事業開発・ブランド戦略の支援を行う。これまでに、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/12 07:30 https://markezine.jp/article/detail/48606

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