新カテゴリ「DUPE」とは
2024年末のホリデーシーズン中、WalmartのECサイト「Walmart Marketplace」でエルメスの「Birkin」に酷似したバッグが78ドル(約12,000円)で出品され、瞬く間に完売した。SNS上でこのバッグは「Wirkin(ワーキン:Walmart+Birkin)」や「Walmès(ウォルメス:Walmart+Hermès)」と呼ばれ、購入者によるレビュー動画が拡散されると共に、賛否両論が巻き起こった。
ブランド品と見た目は似ているが、別物であることが明らかなこうした商品は、米国で「DUPE(duplicate:複製の略)」と称されている。高価なブランドアイテムの「安価な代替品」を指し、コピー品とは言わない。
より身近な別例として、「MARC JACOBS」のトートバッグのDUPE品も登場している。同じWalmart Marketplaceで販売されている本物のブランド品と比べても、見た目の違いは「MARC JACOBS」のロゴの有無だけに見える。


無論、こうした「そっくり品」に対して商標権や意匠権の侵害といった議論もあるが、本稿では法的是非は措く。現状、米国では消費者からの肯定的な声が多く、「見た目は本物そっくりでもブランドを騙っていないファストファッション感覚」の商品として受け入れられているようだ。画像のDUPE品は463件のレビュー平均が5点満点中4.6(2025年3月時点)という評価である。
本稿では、むしろDUPEがもたらす市場構造や消費行動の変化に注目したい。