メーカーとともに積み上げてきた「異常値」の実績
野田氏はトライアルのサイネージを「マスメディア並みのリーチ数が担保可能な新しいチャネル」と評価する。特に、トライアルが地盤を固めてきた九州エリアの福岡県では、世帯視聴率換算8%のリーチを発揮。既にサイネージはゴールデン帯のテレビ番組に匹敵する影響力を持つ時代となりつつあるのだ。
この巨大なリーチ力を前提に、野田氏はメーカーと共創したいくつかの成功事例を紹介した。いずれも認知だけでなく「購買」に寄与できている。
たとえばある入浴剤では、需要期の商品陳列に合わせて継続的にサイネージ放映を実施したところ、配信ありの店舗は配信なしの店舗に比べて、売上が大幅に伸長。前後比631%増、配信なし店舗との比較では407%増という明確な結果を残した。
また、サントリーの「サン生」福岡プロジェクトでは、ローカルタレントが出演するエリア限定CMや、特別番組、店頭での大量陳列、サイネージやイベントなどを連動させた一気通貫の展開で、週販約150%アップ、九州エリアでのシェア倍増という異常値を叩き出す成果となっている。
なお、サイネージは必ずしもテレビCMクオリティの動画クリエイティブが必要となるわけではない。むしろ、完全視聴されにくい店頭だからこそ、ファクトを打ち出す静止画クリエイティブが効果を発揮することもある。
オリーブオイルの施策では、訴求内容を「販売実績」という一点に絞ったシンプルなスライドショー形式のクリエイティブによって、配信なしの店舗に比べ、121%の売上増を達成している。
このようにトライアルはメーカーとともに実験を重ねながら、店頭ならではのコミュニケーションを試行錯誤して作り上げてきた。現在は積み上げてきた検証が、たしかな実績として表れ始めている段階といえよう。
九州で形成したリテールメディアネットワークと、関東で始まる新たな挑戦
トライアルが協調しているのは対メーカーだけではない。競合他社とも言える小売業とも協調していくための取り組みを、先陣を切って推進している。
「来店するまではライバルかもしれませんが、店舗の中に入ってしまえば、小売業同士は“競争”ではなく“協調”でいいのではないでしょうか。商品が売れ、シェアが伸びていくことは、小売・メーカー双方の成長につながるはずです」(野田氏)
この思想を具現化しているのが、九州で既に稼働している「九州リテールメディア連合」だ。トライアルを中心に、イオン九州や西鉄ストア、ミニストップといった競合他社が連携し、リテールメディアの相互利用を推進。九州エリア全体で4,000スクリーン以上ものサイネージ面を確保し、包括的なメディアネットワークとして、メーカーが投資しやすい環境を整えている。
「今後首都圏でも同じように小売業のみなさまと包括的な連携ができたとしたら、いつか5%や8%どころではない、大人気ドラマや紅白歌合戦のような視聴率相当のリーチが見込めるかもしれません」(野田氏)
首都圏における西友でのサイネージ導入によって、この九州発の「協調モデル」は関東でも実践可能な土壌が整った。トライアルは関東圏のメーカーや小売企業とともに、挑戦を進めていきたいと意気込む。
「テレビ中心の広告手法に留まらない、リテールメディアを活用した新しい情報発信の形を作り、会社のムダ・ムラ・ムリをなくしませんか。ともに歩んでいただける企業様と一緒に、関東でもリテールメディアの可能性を広げていきたいです」と野田氏は呼びかけ、セミナーを締めくくった。
