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MarkeZine Day 2026 Spring

注目マーケティングトピックス2026

YouTubeと楽天市場の連携は何をどう変える?クリエイター起点&シームレスな「Vコマース」の幕開け

購買に至るまでの手間を排除 熱量を奪わない購買体験

 この「信頼と納得」に基づく購買意欲を、いかにして実際の売上へとつなげるか。その技術的な回答が「YouTube ショッピング アフィリエイトプログラム」だ。

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リリースより

 このプログラムは、資格要件を満たす日本のクリエイターを対象に提供され、長尺動画、ショート動画、ライブ配信、投稿などに提携サイト(今回は楽天市場)の商品を直接タグ付けし、そこからの購入に応じて収益を得られる仕組み。なお、この資格要件にはYouTube パートナープログラムに登録されていることや、音楽チャンネル・公式アーティストチャンネルではないことなどが含まれる。

 同プログラムが画期的と表現される根拠は、視聴者とクリエイター双方の「フリクション(摩擦・手間)」を極限まで排除した設計にある。視聴者の視点に立てば、動画を見て「欲しい」と感情が高ぶった瞬間に、画面上に表示される商品のリンクから即座に楽天市場の店舗サイトへ遷移し、そのまま商品を購入できる。従来の「動画を止めてブラウザーを開き、商品名を検索して探す」という視聴者の熱量を奪う工程が不要になるのだ。

 一方、クリエイター側の技術的支援も抜かりない。特筆すべきは「自動タグ付け機能」だ。クリエイターが動画の説明欄に商品URLなどを記載しておけば、動画の中の最適なタイミングで自動的に商品タグが画面に表示される。動画編集という過酷な労働環境に身を置くクリエイターにとって、個別にタグ付けを行う手間が省けることは、持続可能なコンテンツ制作において極めて重要だ。さらに現在は、動画内で紹介された商品をAIが自動的に特定してタグ付けを推奨する機能のテストも進められているという。

 クリエイターは、楽天市場の豊富な商品ラインアップの中から、自身のチャンネルの文脈に合うものを自由に選択して視聴者に提案できる。バックエンドにはすでに実績を持つ「楽天アフィリエイト」のシステムが活用されており、トラフィックと収益の分配が管理される。この一連の仕組みは、クリエイターのコンテンツ制作フローを阻害することなく、視聴者の熱量を直接的な購買行動へと誘導する、デジタル導線の設計として機能している。

先行テストの成果は?小田切ヒロ氏も指摘する「動画=資産」

 このプログラムがもたらす効果は、すでに先行導入された海外市場や国内のテスト運用で実証されている。先行市場であるインドのライフスタイルクリエイターは収益が約70%増加し、韓国のテッククリエイターに至ってはプログラム参加によって収益が4000%も増加したという驚異的なデータが発表された。

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 日本国内においても、トップヘア&メイクアップアーティストであり、自身のYouTubeチャンネルで「ヒロ買い」と呼ばれる消費ムーブメントを起こしている小田切ヒロ氏(Nous Inc. 代表取締役)がテスト運用に参加した。小田切氏は今回の取り組みについて、「テスト運用を通じて、厳選したアイテムを動画内で共有する新しい選択肢の一つとして捉えている」と語っている。同氏が最も高く評価したのは、視聴者からの「探さなくていい、だからそのまま直接買えるところが良い」という声に表れる、UX(ユーザーエクスペリエンス)の劇的な向上である。感情が動いた瞬間に、見慣れた楽天市場という安心感のあるプラットフォームで決済できることは、カゴ落ち(購入画面での離脱)を防ぐ強力な要因となる。

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Nous 代表取締役/ヘア&メイクアップアーティスト 小田切 ヒロ 氏

 さらに、マーケティング視点で極めて重要な課題解決の側面がある。それは「過去の動画コンテンツのマネタイズ」である。小田切氏も指摘した通り、テレビCMやSNSのタイムライン型の広告は一過性のもので消費されてしまうが、YouTubeの動画は検索され、長期間にわたって視聴され続ける資産となる。本プログラムでは、過去に公開した動画に対してもさかのぼって商品タグを付けることが可能だ。これにより、過去動画もクリエイターにとっては継続的な収益基盤となり、ブランド側にとっても長期的なコンバージョン経路を獲得できる場になる。

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「Vコマース」時代におけるブランド戦略の再定義

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/04 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50496

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