業界団体によって構成されている「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」は、ネットで行われた情報発信によって、名誉毀損やプライバシー侵害があった場合、被害者がその情報を発信した人物を特定できる情報、すなわち「発信者情報」をプロバイダーに請求する際のガイドライン案「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」を、1月10日に公開した。
2002年の「プロバイダ責任制限法」の施行以来、「第3条(損害賠償責任の制限)」については、プロバイダの対応の指針がいくつか公開されてきた。しかし、「第4条(発信者情報の開示請求等)」に関してはガイドラインがなく、プロバイダが判断を誤って発信者情報の開示を行った場合には発信者に対して損害賠償責任を負うことになることなどから、ガイドラインの公表が待たれていた。
今回、公開された「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」のポイントは以下のとおり。
①特定電気通信による情報の流通によって権利侵害を受けた者からの発信者情報の
開示請求が出された場合の判断基準を可能な範囲で明確化。
②発信者情報開示請求する際の一連の手続を整備。
また、開示請求ができる発信者情報は、以下の5つから複数選択が可能。
1. 発信者の氏名または名称
2. 発信者の住所
3. 発信者の電子メールアドレス
4. 発信者が侵害情報を流通させた際の、当該発信者のIPアドレス(IPアドレスは特定不可能な場合もある)
5. 4のIPアドレスから侵害情報が送信された年月日および時刻
この情報は、あくまでも情報を請求した被害者に公開するもので、これが不当に用いた場合、プライバシーの侵害行為とみなされて、情報を公開したプロバイダも何らかの対応が求められることも考えられるという。同協会は、このガイドライン案を公開し、広く意見を募集している。意見の提出期限は、2月9日の正午まで。
プレスリリース:「 『プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)』に係る意見募集について」
「プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン(案)」 (PDF)