今回の調査では、41事業者、5事業者団体、および消費者モニター1091人を調査対象とし、2008年12月から2009年4月にかけて各種調査を実施している。テレビ通販番組には、テレビ通販を内容とする「番組」として放送されるものと「CM」として放送されるものとがあり、放送形態も、地上放送、衛星放送、ケーブルテレビがあり、それぞれ放送時間帯などに特徴がある。
テレビ通販を含む通信販売全体の市場規模は、前回調査(平成15年)以降においても増加傾向を示しており、平成15年の2兆6911億円から、平成19年には56.7%増加して4兆2164億円となっている。テレビ通販市場の規模も増加傾向にあり、平成15年の約2198億円から、平成19年には70.2%増加して約3742億円に成長している。
今回、公正取引委員会は消費者モニターに対するアンケート調査で956人から回答を得ており、そのうち97%の人がテレビ通販番組の視聴経験者だった。しかし、テレビ通販番組を利用して商品購入の経験があると回答した人は、テレビ通販番組の視聴経験者の3割にも満たず、一般消費者における購買活動はある程度限られていることがうかがえる。
テレビ通販における購入経験がない消費者モニターに利用していない理由をたずねると、半数を超える者が「表示どおりではないと思うから」「商品内容がよくわからないから」と回答し、3割超が「欲しい商品がないから」と回答している。このうち「表示どおりではないと思う」とした消費者モニターの中には「メリットばかりを繰り返すため信用できない」「効果等の根拠がわからない」という意見が相当数みられた。
過去にテレビ通販によって購入したことのある商品とその種類を聞いたところ、最も多かったのは化粧品で、家電製品、健康器具と続いている。またそれらの商品について放送した放送媒体の1位は「地上放送」で60%超と圧倒的に多く、2位の「ケーブルテレビ」は10%超にとどまっている。
情報が次々と表示されては消えていくテレビ通販では、重要な内容を記憶しておくのは難しいと感じる人が多く、「支払や返品などに関する重要な情報については、十分な時間を割き,大きく見やすい文字により表示したり、音声で明りょうに説明してほしい」「一定の条件の下で得られた効果・性能については、どのような条件の下で得られたのか明りょうに説明してほしい」といった意見があがっている。
また、過去に不当表示を行ったとして措置を受けた事業者、今回調査でヒアリングを行った事業者ともに、表示チェックのためのルールや体制を有しているにもかかわらず、表示の根拠となる資料の提出を取引先に要求せず、品質確認を怠るなど、社内のルールに従った行動が採られていないなどの問題点が浮かび上がった。また、実際の商品を確認をしないまま、サンプル品や資料に基づく表示を行うなど、不当表示につながっていない状況も生じている。
テレビ通販市場の成長にともない、増え続ける不当表示事案が不信感を招き、テレビ通販の利用をためらわせる要因となっている可能性があると公正取引委員会は指摘している。
【関連記事】
・まだ伸びているPCからのネット利用時間、テレビに続く「第2のメディア」に定着
・患者への影響力1位は「テレビ・新聞」、2位「インターネット」、3位「患者の声」
・小中学生の親、テレビよりも激しいマンガへの拒否反応【PTA調べ】