「プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会」は、いわゆる「プロバイダ責任制限法」の第4条(発信者情報の開示請求等)に関する対応の指針となる「発信者情報開示関係ガイドライン」を2月26日に公開した。
このガイドラインは、ウェブページや掲示板など不特定の人に向けて公開されている情報によって権利侵害を受けた人が、その情報発信者の特定のためにプロバイダなどに「発信者情報」の開示請求を行う際の手続きや判断基準を可能な範囲で明らかにしたもの。取り上げている権利侵害は、①名誉毀損、プライバシー侵害、②著作権等(著作権及び著作隣接権)侵害、③商標権侵害の3つ。
被害者が発信者情報の開示をプロバイダに対して求める正当な理由とされているのは、
1. 損害賠償請求権の行使のために必要であるため
2. 謝罪広告等の名誉回復措置の要請のために必要であるため
3. 差止請求権の行使のために必要であるため
4. 発信者に対する削除要求のために必要であるため
5. その他
とされている(複数選択可)。開示請求に必要な書類は、PDFとして公開されているガイドラインにすべて含まれている。被害者が請求できる発信者情報は、以下の5つ(複数選択可)。
1. 発信者の氏名又は名称
2. 発信者の住所
3. 発信者の電子メールアドレス
4. 発信者が侵害情報を流通させた際の、当該発信者のIPアドレス(特定不能の場合もあり)
5. 4のIPアドレスから侵害情報が送信された年月日及び時刻
発信者情報の開示請求があった場合、プロバイダは発信者に意見聴取を行い、発信者から同意を得たうえで、申請者に対して情報を開示する。同意がない場合、回答がない場合は、ガイドラインに示された判断基準にもとづいて、権利侵害の明白性についての検討を開始する。
また、発信者に対する意見聴取の際、「発信者情報開示請求書」に記された情報が発信者に示されるが、申請者が個人の場合、希望すれば、氏名、権利侵害理由、添付した証拠を示さずに意見聴取が行われる。
このように、ガイドラインは被害者、情報発信者、プロバイダ、それぞれの立場や権利に配慮した内容となっているが、具体的な運用についてはまだ課題も残されている。関係団体のひとつ、社団法人テレコムサービス協会のホームページでは、ガイドラインのほかに、検討期間中に寄せられた意見の概要とそれに対する協議会の考え方も公開されている。