アクセス解析データから課題を発見!
さて、今回はアクセス解析のデータから「課題」を発見する方法について書いていきます。この作業は探偵の役割に似ています。探偵は事件が起きたときにまず調査するべき場所「アタリ」をつけます。そのために必要な仮説を行い、現場での調査や聞き込みを行います。そうすると仮説の正否が見えてくることによって情報の精度が上がっていきます。最後に、決定打となる証拠を見つけ、めでたく犯人は逮捕! となります。
アクセス解析でも同じような事を行い、課題を発見していきます。今回はそのステップを見ていきますので、自社サイトのアクセス解析ツールでもぜひ試して貰えればと思います。
仮説:なぜ会員数が伸びないのか?
アクセス解析のデータを上から下までただ順番に見ていても、多くの場合は気づきを得る事ができません。そこで、まずは仮説を立てる事が大切です。
例えば、ここ1か月間の間、オフラインで新規会員獲得のためのキャンペーンを実施していたとしましょう。「新規に会員登録をする際にチラシに記載されているコードを入力すると、化粧品の無料サンプルが貰える」という内容です。しかし、実際にデータを見ても思ったほど会員数が増えていませんでした。なぜこのような事が起きているのか? を調査してみましょう。
この場合、まず「アタリ」をつけるべきポイントがいくつかあります。今回の場合は、新規の人向けなので、「この流入経由でサイトに入ってくる人は、新規のユーザーが多いだろう」という仮説を使ってみます。
検証:新規/リピーターでデータ比較
では、この仮説を確認するために、「リピーター」と「新規」の人で分けてデータを確認してみましょう。Google Analyticsであれば、「アドバンスドセグメント」という機能を使うことによって、データを分けることができます。
このようにサイト全体のデータから一部のデータを切り出す、あるいは一部のデータに注目する事を「セグメンテーション」と呼び、検証をする際の大切な要素になります。
仮説を元にセグメンテーションを行い「新規」そして「リピーター」のデータを比較してみました。すると、確かにキャンペーンの期間中は新規の流入数が通常の3倍程度に増えていました。入ってきたけどすぐに帰ってしまうのでは? ということで直帰率を見てみましたがこちらはリピーターと比較してもほとんど差はありません。またサイトの平均滞在時間も大きく変わりません。他にもサイト全体にかかわる指標を見ていたのですが、大きな違いはありません。
さて、何が問題なのでしょうか? サイト全体で見ていても、新しい気づきは見えてこなかったのでサイト内の各ページの「PV数」を見てみました。サイト全体の新規/リピートの比率と同じような比率で各ページが閲覧されていましたが、「会員登録フォーム」のページだけは、新規の比率が非常に多いことが分かりました。そこで、このページ何か原因があるのでは? ということで更に調査をしてみると、リピーターと比べて2つの大きな違いがありました。
- リピーターの離脱率は10%だったが、新規の離脱率は50%と大きく違った
- リピーターの1セッションあたりのPV数が1.1なのに、新規では2.4だった
明らかにこのページが怪しそうです。
ということで会員登録フォームをすみずみまで確認してみたところ、「入力するコードは半角だと問題無いが、全角だとエラーが出て会員登録が終了できない」といった理由が見つかりました。そして、すぐにフォームを直したところ、会員登録数も増えていきました。
今回、紹介したのは極端な例ですが「リニューアルして流入が1.5倍になったのに、売上は横ばい」とか「特定の流入元から入ってくるユーザーはとにかくコンバージョン率が高い」といったような、疑問に対する回答を見つけるために上記の方法は非常に有効です。