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本気で活用したい人へ!ゼロからわかるアクセス解析導入・運用完全ガイド

社内にアクセス解析を浸透させるためのヒント(前編)
【リクルートのアクセス解析担当者が明かすノウハウ】

 前回はアクセス解析を浸透させるのに発生する阻害要因について、6点程あげました。今回はその6点について、どう解決をしていくのか? という内容になります。社内にアクセス解析を浸透させるためのヒントや気づきが1つでもあれば幸いです。【バックナンバー】

アクセス解析ツールの活用が浸透しない6つの理由

 まず、改めて6つの課題を箇条書きにしてみましょう。

  1. アクセス解析の活用レベルを上げる必要があるかそもそも疑問
  2. 難しくて使い方がわからない
  3. 上司が必要性を理解してくれない
  4. 数値の信頼性が低くて判断できない
  5. 必要性は分かるが時間が確保できない
  6. 適切な人材がいない

 どれも難題ばかりで、多くの企業が取り組もうとして挫折したり、そもそも取り組む必要性を感じず諦めてしまったりという内容ばかりです。

 では、これらの解決方法について書いていきます。

「活用レベルを上げる必要があるかそもそも疑問」への解決方法

 「あります!」といっても解決にならないかと思います。またすべての会社がアクセス解析ツールが社内で活用されない理由【リクルートのアクセス解析担当者が明かすノウハウ】で説明した、アクセス解析の成熟度レベルでLv8を目指す必要はありません。

 ただ、アクセス解析ツールを導入している会社であれば、「Lv4.課題を元に改善策を考えて検証を行う」までは目指して欲しいと思います。次のレベルに上がると「どういう良いことがあるのか」を、自分が理解し他の人に説明できるようになる事が大切です。

 「Lv1.アクセス解析を導入したがほとんど見ていない」から「Lv2.ページビューやコンバージョン数などの数字を定期的に見ている」に変わるとどのような良いことがあるのでしょうか。

 例えば特集のコンテンツを作っている人であれば「自分が担当した特集がどれくらい見られていて、その上、資料請求に繋がったか」が分かります。良い結果が出れば、上司にも良い報告ができるでしょう。

 また、広報担当者や新しいサービスを作成している人にとっては、「こないだ打ったプレスリリースからサイトに訪れた人がどれくらいなのかが分かる」「有料でプレスリリースを出しているのであればどこが費用対効果が良いのかが分かる」などのメリットがあります。

 この説明はLv.1 → Lv.2あたりであれば、結構説明がつくかと思いますがレベルが上がってくるとそう簡単にはいきません。特に可視化から改善そして最適化のあたりです。では、この時にはどういう方法が有効なのか?

社内や社外の事例を活用

 まず、通常考えられるのは「社内や社外の事例」です。セミナーなどでよく聞きますよね。「うちのツールを入れてA/B テスティングを行ったらCVR(Conversion Rate)が2倍になりました!」「集客の見直しをCPC(Cost Per Click)やCPA(Cost Per Action)を元に行い、集客を最適化させた事で同じコストで売上が1.5倍に!」などなど。

 それらは、それぞれ素晴らしい結果なのですが、その手法や背景が分からないため「他社は他社でうちはうちだし」や「隣の部署とはビジネスの形態が違うので使えない」というように、せっかくの事例も活用されなくなります。

 必要なのは「事例そのもの」ではなく、「その事例が成功した理由」もっと言ってしまうと「勘どころ」そして「実現できた手順」です。A/B テスティングをする際に、どうやって該当のページを選び、どういう方針の元に2つのページを作ったのでしょうか。

 そして、「なぜ・どのようにA/B テスティングを行えたか?」。ここが1番肝心です。行うにあたって、誰にどういう話をしたか? 2種類のコンテンツを作ってもらえた理由は? 上司に確認はしたのか?どういうツールを使ったのか? 予算は確保したのか? その方法は?

 このように「実行できた要因」をとにかく根堀り葉掘り、聞いておく事が大切です。それを文章化(そして汎用化)して、他のサイトや担当者でも行えるように手法(技術的だけではなく、社内調整方法も含め)まとめておきましょう。事例だけで説得するのは正直難しいと思います。エッセンスをつねに抜き出し、集めて、共有する方法を考えましょう。

 さらに上のレベル、最大化から先のステップである、効果差配も考えた最適化、そして人の工数を減らす自動化のステップに関しては、レベルをあげるというモチベーションあるいは仕掛けは必要ありません。なぜなら、それは利用者から自然に上がってくるからです。

 例えば「集客の最適化の必要性は分かり、細かく見るようになった。そして効果も出てきた。しかし、あまりにも数が多くて運用が回らない」とか「より深い分析をしたいために、現在の画面でのデータは使いづらいので、ローデータを落として、自分たちの仕組みに取り組んで、オフラインのデータとも紐付け多い」という形で、必要性を感じて実行をしている利用者からは自然と要望が上がってきます。

 モチベーションを上げる必要はないのですが、それを実現させる方法に関しては利用者と一緒に考えてあげましょう。

 では、このような形でモチベーションを上げればそれですべて大丈夫なのか? というとそうではありません。前述したとおりに上がるための手法や勘どころを用意してあげた方が、想いだけで実現できないという事を防ぐことができます。また、もう1つ必要なのはアクセス解析ツールそのものへの理解です。

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この記事の著者

小川 卓(オガワ タク)

ウェブアナリストとして、マイクロソフト、ウェブマネー、リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンで勤務。2015年にフリーランスとなり、UNCOVER TRUTHのCAO(Chief Analytics Officer)に就任。フリーランスでは、コンサルティング、勉強会、執筆などで活躍している。主な著書は『...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2010/01/05 11:00 https://markezine.jp/article/detail/9253

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