「施策が成果につながったか」直感的に分かるツールが必要に
“実施した施策は、成果につながったか”。
マーケターにとっては、広告のクリック単価やサイトのPVといった数字はあくまでオマケ。最終的には、事業の成長につながる成果を出せたかどうかが問われることになる。
アクセス解析ツールやリスティング広告などの管理ツールを使ってデータを集めるという手もあるが、Webの専門家向けに作られたツールがほとんど。事業会社のマーケターにとっては「施策がどんな成果につながったのか、レポートを見てもピンと来なかった」。サントリー酒類株式会社 企画部 Webビジネス推進グループの室元隆志課長(写真左)は、打った施策の成果を直感的に理解できるツールの必要性を感じていたという。
「グループサイトにバナーを貼ったら、どの程度の効果があるのか。リスティング、SEO、自社媒体、メルマガと、どんな施策を打てばどんな成果につながるのか、網羅的に見られるツールが必要だと感じていました」
室元氏の部署のミッションは、Webで新しいビジネススキームを作ること。酒類の通販サイト「E-liquor」や、サントリーの酒類を扱ってくれる飲食店情報サイトの「サントリーグルメガイド」「BAR-NAVI」などのサイト運営とマーケティングスキーム開発を担当している。
飲食店情報サイトを運営する背景には、店舗への集客を支援する代わりに、サントリーの酒類の取り扱いを増やしてもらおうという狙いがある。「サイトから集客を手伝うので酒類を置いてくれないか」と営業ツールの1つとして活用してもらおうという考えだ。
ただ、例えば「特集を組んで集客しますから」という営業トークで口説いてきたのなら、1~2か月程度の短い特集期間のうちに成果を残さなければ、取引は打ち切られてしまうかもしれない。人気ブロガーを派遣して取り上げてもらう、メルマガからの集客を図る、といった施策で期間中に成果を残せるように手を打ってきたそうだが、その効果をもっと短いスパンで把握できないかと模索していたという。
【参考情報】
先進的なマーケティングに取り組むサントリー酒類株式会社も採用した広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。
越えられなかった1カ月の壁を「WebAntenna」で乗り越えた
サントリーほどの会社になると、テレビCMなども絡めた大型のプロモーションを実施する時には、年間を通じたプランをまず考えて、3か月くらいのスパンで1つ1つのキャンペーンを走らせることになる。
対してスピーディーな対策が求められるWebビジネス推進グループにとっては、3か月では遅過ぎる。アクセス解析ツールなどを導入して、PDCAを回す期間を1カ月程度にまで縮めることには成功していたが、どうしても1か月の壁は越えられなかったと室元氏は振り返る。
「計測ツールのインターフェイスは、専門家ならともかく、企業担当者には使いづらいものでした。レポートを作成する作業だけで何時間もかかっていましたので『毎日見て施策を考えろ』とメンバーに求めるのは無茶な話です。『項目を減らしてでも週次でレポートしよう』と試みましたが、改善策につながるような発見は得られないレポートになってしまっていました。私としても、レポートを見てもはっきりとした結論が分からないので『ウーン』としか言えず、意思決定ができずにいたのです」
そんな悩みを抱えていた折、付き合いのあった広告代理店から紹介されたのがビービットの広告効果測定システム「WebAntenna」だった。WebAntennaでは、自然検索、リスティング広告、自社媒体に載せたバナー広告、メールマガジンと、さまざまな流入経路別の成果を一目で把握できる。何時間もかけてまとめていたレポートの内容を数分で確認できるようになった。
また従来のツールでは、入り口(施策・キャンペーンや検索キーワード)と出口(成果)の関係をつかみにくかったが、WebAntennaでは入口と出口をセットで把握できるつくりになっている。どの施策からどれだけの成果が出たのか、一気通貫で分析できるようになった。
これまで月次でしか追えなかった施策の結果が日次で分かるようになり、どの施策からどれくらいの費用対効果でどんな成果が出たのか、容易に把握できるようになった。これにより、グループを預かる室元氏自身にもポジティブな影響が現れたのだとか。
「見ても良く分らないレポートで判断をしなくてはならなかったころは辛かったのですが、WebAntennaを入れてからは、どんな施策がお客様のニーズをつかまえたのかが良く分かる。結果を上下させた施策・キーワードは何だったのかと見て『だったらコッチの方向で拡大しよう』と週次で意思決定できるようになったのは大きいですね」
【参考情報】
先進的なマーケティングに取り組むサントリー酒類株式会社も採用した広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。
「角ハイボールの飲める店」ではなく「東京 居酒屋」「大阪 居酒屋」
ツールを入れ替えたことで組織にプラスの影響があったことは分かったが、室元氏の部署では具体的にどのような施策を打ってサイト運営を改善していったのだろうか。
例えば、角ハイボールの飲用体験者を増やすため、ハイボールタワーと呼ばれる専用ディスペンサーを設置した居酒屋へ、ハイボールを飲んだことのないユーザーを誘導しようとページを用意。角ハイボールの一杯無料試飲などのクーポンが利用できるようにした。
ところが実際に1週間程度施策を走らせてみたところ、サイト来訪者は増えてもクーポンページへはちっともアクセスが集まらない。ひょっとすると「角ハイボール」で検索する人は、角ハイボールの作り方やキャンペーンの情報を知りたい人なのではないだろうか。
室元氏のグループは1週間経過した段階でそのように推測。すぐに「角ハイボール」で対策していたものをもっと地域性の高いワードに切り替え、対象店舗の東京・大阪の地名で集客できるように特集ページを改定。従来の体制だったら、問題を把握できたころには特集期間が終わってしまっていたかもしれない。
この対策は見事に当たった。「東京 居酒屋」「大阪 居酒屋」「渋谷 居酒屋」などのキーワードからはいってきたユーザーは、無事にクーポンページまでたどり着いてくれた。対策も順調に進み、自然検索からの流入量も増えていったという。最終的には、広告追加投資などの無駄なコストを発生させることなく、予定以上の集客数を実現したわけだ。
アクセス解析ツールなどで分析していると、どうしても「途中のページで離脱しているんだったら、どうページを直そう」という思考に偏りがちだが、対策に時間もかかる上に、成果に結び付くか確証があるわけでもない。
それよりは、入口となった流入経路でユーザーがそもそもどんなニーズを抱えているのか、ユーザーの気持ちを考えて成果につながるようにフォローする、あるいは成果の出そうな経路を強化する。WebAntennaを導入したことで、そんな意識の変化もあったようだ。
意思決定を迅速に行える環境を作る
ユーザーがどんなニーズを持っていて、マーケティングの施策が成果にどう結び付いたのか。素早く正確に把握できるようになったことで、室元氏のグループの変化は、ほかの部署にも影響を及ぼしつつある。
一例を挙げると、流入元のキーワードを分析したことで、酒類名・ブランド名で検索する人の中にはドリンクメニューを増やそうと考える店主も居ることが分かった。そこでBtoC向けの商品説明ページからサントリー製品の取り扱い申し込み窓口にアクセスできるようにしたことで、店舗開拓につなげられるようになった。
成果指標としてはPVくらいしか見るものがなかった商品ページの担当者にも、売上に貢献できるようになったと、ひどく喜ばれたという。
あるいは最近では無視できない影響力を誇るようになったブロガーなどのCGMの効果を高めようと、テレビCM、PR、CGMをどのように有機的に結び付けていこうか、ほかの部署も巻き込みながら社内的な議論に発展しているのだとも。
まだ室元氏のグループに限った話かもしれないが、このようにサントリーでは、四半期程度のスパンだったプロモーションの意思決定が週次にまで短縮され、ビジネス上の成果にまでつながり始めている。施策と成果の関係を一目で分かるようにし、意思決定を迅速に行えるようにする。それはWeb担当者以上に、サービス・事業の責任者にとって重要なことなのかもしれない。
【参考情報】
先進的なマーケティングに取り組むサントリー酒類株式会社も採用した広告効果測定システム『WebAntenna』の詳細は、ビービット社サイトに掲載されています。興味のある方はぜひご覧ください。