次の10年はCMOの時代
基調講演で最初に登壇したオムニチュアビジネスユニット担当上級副社長兼ゼネラルマネジャーのジャシュ・ジェイムス氏は、“デジタルビジネスにおける次の10年は、CMOの時代になる”という強いメッセージを会場に投げかけた。
この意図は、「20年前のデジタルビジネスは、CFO(最高財務責任者)がビジネスリーダーであり、ビジネスプロセスや統合業務パッケージなどが重視されていた。次に、CIO(最高情報責任者)がビジネスリーダーになり、ITインフラ・クライアントサービス・インターネットがビジネスにおける鍵になった。そして、これからの10年はCMO(最高マーケティング責任者)がビジネスリーダーとなり、カスタマーエクスペリエンスや双方向コミュニケーションなどが重要になっていく」というものだ。
では、成功するためにCMOはどのようなことを実現すべきなのだろうか? ジャシュ氏は次の4つを挙げた。
- コンシューマーとの強い結び付きを生む「体験(Experience)」の創造
- コンシューマーに対して、さまざまなサービスを統合かつパーソナライズ(個別最適化)して提供(さまざまなデバイス同士のコンテンツやサービスの連携)
- アクセス解析指標からビジネス指標へのステップアップ
- マーケティングがビジネスに責任を持つ
こうしたCMO時代の到来に向けて、オムニチュアが担うという役割は次の2つ。1つは、「マーケティングを支援するために分析の手間や負荷を減らすこと」。もう1つは、「コミュニティを作ること」。データをより有効に活用できるためにオムニチュアのデータ連携サービスであるGenesisのパートナー・顧客をさらに増やし、オムニチュアのデータを中心とした「コミュニティ」形成を目指すという。
アドビとオムニチュア統合
続いて登壇したアドビシステムズCEO シャンタヌ・ナラヤン氏は、アドビとオムニチュアの統合について語った。
シャンタヌ氏が「アイデアと情報の接し方をアドビは変えてきた」と自負するように、アドビシステムズは今まで「コンテンツの発行」「電子文書」「インタラクティブなウェブサイト」「インターネット上のリッチアプリケーション」と、支援領域・ビジネス領域を拡大しながら成長してきた。そして、今回のオムニチュアとの統合により、マーケティング領域の支援ツール群提供を開始したことになる。
シャンタヌ氏は、さらに「大切なのはカスタマーとのエンゲージメントを築くために作成したコンテンツを測定する事」であるとし、既存のアドビ製品はオムニチュアとの統合によって「コンテンツだけではなく、コンテンツ+アプリケーションの融合」「クリエーションだけではなく、クリエーション+最適化」といった進化を遂げることをアピールした。
実際、5月28日から発売開始される同社ツール群の新版「Adobe Creative Suite 5(CS5)」では、いくつかのオムニチュア製品との統合機能が実装されている。例えば、ウェブサイト上でのA/Bテストや多変量テストなどを支援するツール「Test&Target」の機能拡張が、Flash Professional CS5とDreamweaver CS5で利用できるようになっている。