『2006年 日本の広告費』によると、2006年度のネット広告は3,630億円。雑誌広告の3,887億円に迫りつつあり、本格的に広告メディアとして台頭している。イベントでは、最新のインターネットマーケティング事情がわかるセッションが目白押しとなった。
12時15分からは、日産自動車株式会社(以下、日産) グローバルブランドコミュニケーション部部長 野口氏、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ) 執行役員 夏野氏による特別対談が行われた。モデレーターは『宣伝会議』編集長 田中氏。
モバイル業界の雄である、ドコモの夏野氏からはモバイルマーケットの現状が語られた。「インターネット広告費3630億の中で、モバイル広告費は390億。まだ一割にしか満たない。モバイルのメディアとしての特性を考えると、まだまだこれから」と強調。
コマースの市場規模を見ても、インターネットショッピングの市場規模が1兆5000億円のところ、モバイルコマースは約1500億円と同じく一割。伸び代がある分野であることは間違いなさそうだ。
続いて、日産の野口氏からは、Second Lifeを活用した新車「セントラ」のプロモーション事例が語られた。Second LifeのNissan Island内に、クルマの自動販売機が作られたことで、話題になったプロモーションである。
日産が、Second Lifeに取り組んだ目的として「セントラのターゲットがSecond Lifeに訪れるユーザー層とマッチしていたから。話題性だけで取り組んだわけではない」と強調。「結果的にセントラを『認知』させることにはある程度成功したと思うが、最終的に『購買』に結びつけるためには、当然他の地道な活動が必要」と語った。
日産は、ブログマーケティング等にも早くから取り組んだ先進的な企業であるが、Second Lifeについても、同様にいち早く取り組んでいる。話題先行気味のSecond Lifeだが、広告主から見れば「広告メディアの一つ」に過ぎない。「顧客ニーズに対していかに答えるか」が、マーケティング戦略立案の第一歩であり、その中の新しいアイデアの一つとしてSecond Lifeを活用をした、という姿勢が伺えた。
また、ネット活用成功の秘訣として「消費者は非常の能動的。プッシュ型ではなく、プル型のスタンスに変わりつつある。なので、発信する側も『つなげて、巻き込んで、共有する』ことを意識しなければならない。それを、リアルタイムにできるかがポイント」と述べ、締めくくった。
インターネットは他のメディアに比べ、非常に変化の激しいメディアである。そのため、Second Lifeに限らず、新たな手法、しくみが登場することも、十分に考えられる。「誰に対して何を届けるのか」をまず押さえ、トータルなマーケティング施策の、どの部分にネットを活用するのか? を見極めることがネットマーケティングを成功させる、第一歩なのだろう。
イベント詳細:「Internet Marketing & Creative Forum 2007」