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“相似形”で考えよう!マーケティング脳を鍛える10のレッスン

戦略は目的達成のために… レッスン5 ~マーケティング・プランニングのイロハ~

 戦略づくりの過程では、数多くの道の中からただひとつの進むべき道を選び、それ以外の道をあきらめなければなりません(もちろん、次の機会に選択することはできますが、現実的には費用・タイミングなどの問題で、その時点ではひとつしか選べません)。したがって、“目的”で進むべき道のイメージを明確にすることが重要だということになります。

 しかし、良い戦略をつくるためには、目的に合致した道を数多く見出す目利きの力が大切です。実は、目の前にゴールへの近道があるはずなのに、その道に気づかないと、その道を選択することすらできません。戦略の骨格づくりの前に、いくつかのTIPSを通して、目利きの力を養いましょう。

TIPS 1 売上の分解

 あなたが「ビジネスの売上を拡大すること」を目的として設定することは間違いではありません。しかし、分解の視点を加味して設定することで、より発想が刺激されることでしょう。そこで顧客の購入時点に着目して、売上を分解した、以下のような方程式を用いてみましょう。

(売上) = (1回あたりの購入量) × (一定期間における購入回数) × (顧客数)

 この方程式を念頭に置くことで、ある一定期間の売上を拡大するためには、
①使用量を増やして、より大容量のものを買ってもらえるように仕向けたり、まとめ買いを促進したりする
②使用量を増やすように仕向けて、購入の頻度を増やす
③新しい顧客を獲得する
という3つの方向性、すなわち3つの進むべき道がおぼろげに見えてくるのです。すると、目的の設定もより鮮明なものになるのではないでしょうか?

TIPS 2 戦いの状況

 サッカーとドッヂボールの球技としての違いをイメージしてみてください。勝ち負けの決定の仕方に大きな違いがあります。サッカーは、ゴールネットを揺らした回数で得点が入り、数多く得点を入れたチームが勝ちになります。しかし、ドッヂボールは、相手チームの内野のプレイヤーを先にゼロにした方が勝ちになります。

 サッカーは、得点機会さえあれば、その数だけ得点が入ります。チャンスを生かしさえできれば、新しい顧客を獲得したり、使用頻度を増やしたりして、新しい需要を創造できる状況におけるマーケティングの戦いに似ています。一方で、ドッヂボールは、外野プレイヤーが相手チームの内野プレイヤーをアウトにすると、自分のチームの内野が増えて、相手チームの内野が減るという戦いで、ある種のゼロサムのシェアバトルに状況が酷似しています。成熟しきった市場においては、シェアバトルに陥っていると考えがちです。競合からシェアを奪取することも確かに重要な戦略ですが、本当に新しい需要を創造することはできないでしょうか? そんなチェックの視点が、見えてなかった進むべき道を、明るく照らし出してくれるかもしれません。

 自問自答してみましょう。あなたの戦いは、「サッカー型」か、それとも「ドッヂボール型」でしょうか?

TIPS 3 購入ステップの分解

 あなたのビジネスを顧客の購入ステップから見つめてみると、そこにも課題や進むべき道が見えてきます。そこで顧客の視点から分解してみましょう。

  1. 認知 あなたの(潜在)顧客は、商品・サービスが知っているか?
  2. 関心 あなたの(潜在)顧客は、商品・サービスに興味を持っているか?
  3. 検討 あなたの(潜在)顧客にとって、商品・サービスが競合との比較・検討対象になっているか?
  4. 購入意向 あなたの(潜在)顧客は、商品・サービスを購入する意思をもっているか?
  5. トライアル あなたの(潜在)顧客は、商品・サービスを試しに購入したか
  6. 試用 あなたの顧客は、商品・サービスを試しに使ってみて、満足したか?
  7. リピート あなたの顧客は、商品・サービスを再購入したか?
  8. 満足 あなたの顧客は、商品・サービスに満足しているか?

 この考え方は、次回ご説明する戦略の骨格づくりに非常に重要な概念となります。それではまた次回お会いしましょう。

レッスン5
あなたが戦略を立てようとしている案件の「究極のゴール」を書き出して確認してみましょう。そのゴールに対して、あなたがどのように“目的”を設定するか、考えてみましょう。できることならば、「いつまでに、どのような状態になっているか」という視点を盛り込んでおきましょう。

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この記事の著者

東急エージェンシー 神通 靖彦(ジンヅウヤスヒコ)

理系出身のマーケティング・プランナーを目指し、総合広告会社(株)東急エージェンシー入社。マーケティング局、デジタルマーケティング局などを経て、現在、ナレッジセンター所属。
広告主と一緒にマーケティング、戦略、ブランド議論などを効果的に行う新しいカタチを開発・提供中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/05/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/1209

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