デジタルによって変わったもの、変わらないもの
開口一番、アイズナー氏は次のように語った。
「デジタルによってさまざまなものが変わったことは確か。しかし、根本的なところは変わりません。変わったものは何か。変わらないものは何か。そして、それをマーケティングするやり方、従来との違いについてこれから話を進めていきたい。新しいものを受け入れつつ、古いものでも長続きするというバランスを考慮することも大切です」
グーテンベルグからザッカーバーグまでの時間軸は物語る
最初に、1450年に印刷機を発明したグーテンベルグ(1450年)から、マーク・ザッカーバーグのFacebook(2004年)までの時間軸を総括した。
パブリッシングの世界は、グーテンベルグの印刷機の発明に始まり、1689年に新聞、1704年に新聞広告、1741年に雑誌、1892年に映画、1970年に定期的なラジオ放送、1977年にPC登場でコンピューター時代幕開け、そして、2004年にFacebookが誕生したことで現在のソーシャルメディアブームが巻き起こった。この時間軸を提示したうえで「前に進むだけでなく、後ろにも進まなければならない」(アイズナー氏)と語った。
たとえば、「コンピューターが登場すればテレビは時代遅れになる」「テレビの出現時にはラジオがダメになる」「ラジオが発売されれば雑誌が時代遅れになる」「日刊紙が表れると書籍購読が減少する」など、ネガティブな憶測が飛び交った。
しかし、実際には新技術の登場によって従来技術がダメになることはなかった。確かに、デジタル革命はさまざまなものを変えてきたが、他のものを無意味なものにしているわけではないのだ。
また、「すばらしい成功というものは、消費者とコネクトすることができて、さまざまなプラットフォームを使って目的を達成することで訪れます」とアイズナー氏は断言する。
印刷機を発明したグーテンベルグからFacebookを創造したザッカーバーグまで、デリバリーシステムが多様な変貌を遂げてきた。新しいシステムが構築されるごとに、新たなユーザー体験は増してきた。