スマートフォンの普及に伴い、スマートフォン広告市場も急成長へ
スマートフォンが依然、急ペースで普及している。情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)発行の「2011年度 携帯電話の利用実態調査」によると、スマートフォンの利用者比率は前年度の9.2%から14.8%に増加。さらに「携帯電話を買い換えたい」という人のうち、実に66.5%が「買い換えの際にはスマートフォンを選ぶ」と回答している。
スマートフォン利用の裾野が広まってきていることで、スマートフォン向けの広告市場も確立しつつある。2010年度ネット広告代理市場の規模は、スマートフォン向け広告で28億円(ミック経済研究所『ネット広告&Webインテグレーション市場の現状と展望2011年』より)。フィーチャーフォン向けの957億円と比べると見劣りするが、3~4年後にはフィーチャーフォン向けの市場規模に比肩する規模にまで成長すると報告されている。
今後の急成長が見込める市場に、乗り遅れる手はない。スマートフォン向けアプリ/Webメディアをリリースした、あるいは開発を検討し始めた企業も増えているのではないだろうか。
そんな企業の中で「そこそこ利用者数が増えてきたけど、広告収入がイマイチ」と悩んでいるところがあるのなら、広告収入を最大化するために導入を検討してもらいたいサービスがある。9月12日にngi group株式会社から提供開始されたスマートフォン特化型広告配信SSPサービス「AdStir」だ。
潤沢ではない広告枠をどれだけ収益化できるか
アプリ開発者/Webメディア運営者の悩み
スマートフォン利用が急拡大しているとはいえ、PCやフィーチャーフォンと比べると、現状の利用者数はまだまだ限られている。スマートフォン向けアプリ/Webメディア全体で考えても、潤沢な広告露出量を確保できている状況ではない。自社単独で営業を掛けても広告出稿を得るのが難しい企業の方が多い状況だろう。
そうなると検討されるのがアドネットワーク。市場規模が急成長する見通しが立ってきたことで、スマートフォン対応のアドネットワークも続々と登場。小規模なものを含めれば既に20~30程度も出てきている。
ただ、立ち上がったばかりの市場に対して、20~30という数は多過ぎる。そこまで乱立していると、「最も収益性の高いアドネットワークはどこか」と提示された単価順に選んでみても、そこが正解とは限らない。選んだネットワークによってはすぐに広告在庫が尽きてしまうからだ。
かといって、広告在庫量が多い大手のアドネットワークは単価が比較的安い。限られた広告露出量の中でどうやって売上を最大化するか。そこに悩まされているアプリ開発者/Webメディア運営者も多いのではないだろうか。 AdStirは、そんなアドネットワーク等の広告掲載に関する悩みを解決してくれるサービス。その機能をこれから紹介していこう。
収益最大化機能とアドサーバ機能を備える「AdStir」
AdStirには大きく2つの機能がある。先に触れたアプリ開発者/Webメディア運営者の収益を最大化するイールドオプティマイゼーション機能(※)と、純広告や自社広告を配信するためのアドサーバの機能だ。
イールドオプティマイゼーションの機能は、アドネットワークの乱立によるアプリ開発者/Webメディア運営者の悩みを解消する一助になるだろう。
「最も収益性の高いアドネットワークを探す」ために、複数のアドネットワークの広告を同時並行で配信できる機能が含まれている。アドネットワークごとに配信可否/配信比率を設定して比較・検討することで、収益が最大化されるアドネットワークの組み合わせを手軽に探ることができるようになる。
また「広告の在庫切れ」という問題に対しては、広告在庫を検知する機能が役に立つ。在庫切れになったら、並行配信中の他のアドネットワーク広告が自動的に配信される。仮に並行配信中のアドネットワークがすべて在庫切れになっても問題ない。普段は広告配信をしていないアドネットワーク広告を、事前に決めた優先順位に従って配信させることができるのだ。
もう一方のアドサーバ機能は、iPhone/android用の純広告・自社広告を手軽に配信できるようにするもの。掲載期間保証型、インプレッション保証型、クリック保証型といった課金形態での設定に対応。ユーザーの端末種類(iPhoneかandroidか)や所在地(日本国内か国外か)ごとに配信設定を変更できるようになっている。
しかも利用料金は無料。客先での反応は前向きな声ばかり
機能面の優位性以上に、AdStirの特徴になっているのは、利用料金が無料だということ。
同社メディアプラットフォーム事業部の植雄平事業部長は「アプリ開発者様やWebメディア運営者様に収益を増やしていただきたい」という思いから無料提供することを決めたと話している。
「収益の最大化を図るためのツールに対して、お客様からのニーズを感じていました。AdStirはそのニーズに応えるために開発したものです。
まずは在庫切れによる配信ロスを無くさなくてはいけません。配信ロスの多かったアプリ開発者様やWebメディア運営者様などでは非常に大きな改善効果が見込めます。
配信ロスをゼロにできていたとしても、AdStirを導入していれば、純広告が入った場合にすぐ切り替えられます。近日アドサーバ機能として、アクセスしてきたスマートフォン端末のキャリアを判別する『キャリア識別配信』を実装予定です。これにより『キャリアターゲティング配信』や『キャリア端末ターゲティング配信』等が可能になりクリック単価が高めのターゲティング案件の配信にも対応できるようになります。より高単価の広告を載せることで収益増が期待できるでしょう。
営業活動をしていて、アプリ開発者/Webメディア運営者の方々からは、われわれの想定していたとおりの反応が得られています。マイナスで評価されたことはありません。基本的には『導入しよう』というお話をいただいています」(植氏)
※イールドオプティマイゼーション機能……複数のアドネットワークの収益を最大化させるよう広告を配信する仕組み
利用者の収益最大化と、導入・運用時の利便性を追求
利用料金が無料になっていることもそうだが、AdStirはアプリ開発者/Webメディア運営者のことをよく考えたサービスになっている。
そう記す根拠の1つは、AdStir経由のアドネットワーク利用に対してngi groupがマージンを取ることはない。つまり、アプリ開発者/Webメディア運営者にとっては中抜きをされることなく、各アドネットワークから支払を受けることができる。AdStirはそういった点からも、アプリ開発者/Webメディア運営者視点の姿勢をとったサービスだといえる。
もう1つ配慮されているのは、導入・運用のしやすいツールになっているところ。高度な知識・スキルがなくても簡単に導入できるように設計されている。
運用面にも気を配られている。アドネットワークを切り替える際には普通、アプリに埋め込んだSDKを切り替えのたびに変更する作業が必要。だがAdStirを導入していれば、そうした作業が不要になる。AdStirのSDKさえ埋め込んでおけば、AdStirが各アドネットワークの広告を呼び出してくれるようになるからだ。 しかも、アドネットワークごとの配信比率などはAdStirの管理画面から直感的な操作で設定できる。運用の手間をできるだけ減らすように考えられているのだ。
「この機能が欲しかった」+「ちょうど良いタイミング」で支持を集める
このようにさまざまな特長を持つAdStir。客先ではこうした機能も評価されているが、それに加えて「タイミングがバッチリ」という理由から導入を決めるところもあるそうだ。
「『ちょうどスマートフォン向けのアプリ/Webメディアをつくっていた。良いタイミングでAdStirが出てきてくれた』という評価が多いです。
広告の在庫検知ができる、アドサーバで純広告・自社広告も回せる、といった各機能に対する評価もありますが、一通りの機能を備えたアプリ開発者/Webメディア運営者のためのサービスが、ちょうど良いタイミングで登場したこと。支持されているのには、機能とタイミング、2つの側面があるようです」(植氏)
AdStirは提供開始からわずか2日間で100件以上の登録があった。「最初はもっと小さく見込んでいた」(植氏)が、想定以上の引き合いを得られたことで、アプリ開発者/Webメディア運営者にとって必要とされるサービスなのだと自信が持てたという。
「ちょうどスマートフォン向けのアプリ開発/Webメディア開発を考えている」や「現在運用しているスマートフォンアプリやWebメディアでの収益管理/広告運用で困っている」のなら、あなたもAdStirを検討してみてはどうだろうか。
今回はAdStirの概要について説明してきた。次回は管理画面の使い勝手、AdStirの隠れた便利機能などについて掘り下げていこう。