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動画マーケティング活用ガイド(AD)

認知、顧客獲得、ロイヤリティ向上…
動画マーケティングを目的別に使い分ける

 前回は、動画がマーケティングに使われるようになってきた背景を振り返った。今回は、どのように動画をマーケティングへ活用していくのか、目的別に紹介する。

プリセールスとポストセールス

 マーケティングにおけるウェブサイトの役割は、各社様々であるが、大別するとプリセールスとポストセールスがあるのではないだろうか。プリセールスでは認知度向上、潜在客・見込み客の獲得、商品・サービスの提案、ポストセールスではロイヤリティ向上、既存顧客への情報提供などが挙げられる。いずれの場合でも、動画を活用することで効果を最大限に引き出すことが可能だ。

認知度向上目的ではYoutubeの活用を

 認知度向上、潜在客・見込み客の獲得では、検索エンジンを活用したマーケティングが行われる場合が多い。そこで注目したいのがYouTubeだ。YouTubeは、ユーザーから投稿された動画を集めたUGC(User Generated Content:ユーザー・ジェネレイティッド・コンテンツ)サイトの雄だが、最近では検索エンジンとして第2位のランキングに入るなど、検索サイトとしても急成長を見せている。ユーザーが目的に併せてキーワードを入力し、動画の情報を探していることがわかる。

主要サイトの閲覧数合計(家庭PCからのアクセス)399億5280万ページビュー(22.5)
出所:閲覧数はニールセン・オンライン、サイト選定とシェアは日経推定
主要サイトの閲覧数合計(家庭PCからのアクセス)399億5280万ページビュー(22.5)出所:閲覧数はニールセン・オンライン、サイト選定とシェアは日経推定
検索エンジンとして、Googleに続いて2位/出典: comScore Release October 2009 Search Engine Rankings (U.S)
検索エンジンとして、Googleに続いて2位/出典: comScore Release October 2009 Search Engine Rankings (U.S)

 動画本編には、検索エンジンがインデックスできるようなテキスト情報は、存在していない。そのため、メタデータと呼ばれるタグやタイトル、カテゴリ、説明文など、文字情報をインデックスして動画と関連付け、検索結果を表示してる。

 例えば、ある化粧品の使い方を紹介しているビデオがあったとしよう。「化粧水、メイク落とし、使い方」など、化粧品のカテゴリ名や商品名などをタグとして入力し、説明文に商品の使い方についてのコメントなどを入れておくことで、関連するキーワードがYouTubeで検索されたときに、検索結果に表示される仕組みになっている。また、関連する動画としてユーザーが今見ている動画に対して、リコメンデーション表示される仕組みにもなっている。

説明文やカテゴリ名に関連するキーワードを追加(赤枠)。関連する動画が表示される(青枠)
説明文やカテゴリ名に関連するキーワードを追加(赤枠)。関連する動画が表示される(青枠)

 YouTubeから特定の動画を友人にメールで共有したり、つぶやいたり、Facebookに貼り付けたりとソーシャルメディアと通じた共有も簡単にできるようになっているため、YouTubeで検索をしていないユーザーへも、動画視聴を促す仕組みが整っているのも魅力的である。

 自社の商品を検討しているユーザーだけでなく、潜在的に顧客になりうるユーザーへの商品やサービスの情報を動画で提供することができる仕組みだ。

 YouTubeの動画を見て商品やサービスに興味を持ってもらったら、自社のサイトに訪問して欲しいものである。更に詳細な商品の情報や、他の商品の提案機会にもつながり、BtoBであればメーリングリストやユーザー登録でリード獲得のチャンスにもなる。しかし、YouTubeで動画を見たユーザーがその商品を購入したいと思ったり、商品やサービスのことをもっと知りたいと考えても、YouTubeの中では実現することができない。

 キーワードにマッチしたタグやタイトルなどのメタ情報を工夫し、ユーザーの検索結果から自社のYouTube動画へ誘導する流れは、検索エンジンを使った手法とほぼ同じである。

 しかし、通常の検索エンジンとYouTubeの場合、大きな違いがある。検索エンジンが「通過点」であるのに対し、YouTubeは「目的地」である。つまり、Googleなどの検索サイトの検索結果からは、自社サイトや専用のランディングページにトラフィックを誘導することができるのに対し、YouTubeの検索ではすべてのトラフィックがYouTube内で完結するのである。

 検索結果から特定の動画にたどり着いても、その動画はYouTubeの中に表示される。これは、YouTubeにアップロードした動画を自社サイトに貼り付けても同様で、YouTubeの検索結果にはYouTube動画の貼り付けられた自社サイトのページではなく、YouTubeに存在している動画へ誘導される。

 したがって、動画による認知向上はできるが、そこから先の自社サイトやキャンペーンサイトへ誘導することができないのである。説明文や、動画の中にURLを入れるなど、自社サイトへ送客する工夫が必要である。

 また、YouTubeで公開している動画には、勝手に広告が挿入されてしまうこともある。自社サイトに貼り付けた場合、競合製品や自社ブランドの毀損を招くような広告が挿入されてしまうリスクもあるのだ。

顧客獲得目的では自社サイトでの活用を

 そこで、次のステップとして自社サイトでの動画による商品・サービスのプロモーションを検討する必要がある。自社サイトでは、商品の販売からユーザー登録、メールマガジンの購読などユーザーを獲得する施策を自由に行うことができる。こういった、顧客獲得を促すために、自社サイトでの動画の配信によるユーザーとのコミュニケーションが有効である。

 自社サイトで公開する動画は、YouTubeで公開するものとは目的が異なる。YouTubeでは認知度向上を目的としているため、自社の商品やサービスを知らない人に知ってもらうことが、第一目的となる。そのため動画は、簡潔に商品を紹介しつつ、ユーザーに新しい提案をするのがいいだろう。動画も短めで、ユーザーの注意を喚起するためにユーモアやパロディモノに仕上げることもあるだろう。

 一方、自社サイトの動画では更に一歩踏み込んだ商品や、サービスの特徴や機能を紹介。YouTubeなどで認知したユーザーが興味を持ち、更に深い情報へのニーズに応えるべく、情報密度の濃い動画を掲載するのだ。商品ページとしてテキストやイメージで商品を詳細に紹介しているページを、動画によって、更にリッチ表現できる。

 動画だけで情報を提供するのではなく、テキストやイメージなどで伝えきれない商品や、サービスの優位点を補うための動画コンテンツを用意する。また、10分の動画を一本用意するよりは、1分から2分くらいの短い尺で、1つか2つの訴求ポイントに絞った動画を、10本用意する方が効果的だ。そのような動画を用意する場合、ユーザーの興味を持つポイントを動画の初めで見せ、最後まで見てもらえるような工夫をするとさらに効果的だ。

 こうした取り組みを行うことで、興味を喚起し、違う機能を紹介する動画へと誘導できるため、結果的にサイトでの滞在時間と自社ブランドや商品への接触時間を伸ばす効果が生まれる。

 自社サイトで動画マーケティングを行う際の重要な点は、ユーザーが動画を閲覧した後に取る行動を分析し、捉えることことである。YouTubeでは、関連する動画や検索結果の次の動画へ遷移してしまうが、自社サイトではユーザーの興味を喚起するコンテンツを自由に配置することができる。

 動画を閲覧したユーザーに、他の自社製品の動画を見てもらうのか、メーリングリストに登録してもらうのか、商品をブックマークしてもらうのか、友人と共有してもらうのか、など動画を見せた後に取ってもらいたいアクションを考え、それを実行することができるのだ。

 ポストセールスのための動画も、自社サイトに掲載する方が効果が高い。商品を購入しているユーザーであれば、企業サイトに情報を探しに来る場合が多く、カスタマーサービスの一貫として、使い方やハウツーものコンテンツを用意してるサイトも多い。こうした取り組みにより、動画コンテンツを使って既存顧客とより深い信頼関係を築くことができる。

 使い方などは、テキストやイメージよりも動画の方が、細かいニュアンスや微妙な動きが伝わりやすい。商品購入後も手厚いサポートがあるというユーザーへの安心感は、購入者だけでなく、購入を検討している見込み客へもポジティブな効果を与える。

 満足した顧客ほど良きセールスマンはいないと言われるが、ソーシャルメディア全盛の今だからこそ、ポストセールスでもリッチな情報提供を行うことで、他社と差別化する効果は大きい。新規顧客獲得やコンバージョン向上には直結していないが、ユーザーからの問い合わせ件数を減らす、あるいはリピート率向上、返品率減少など利益率を向上する重要な施策である。

ライブ配信はどのように考えるべきか

 最近は、USTREAMの普及により、個人もライブ配信が簡単に行えるインフラが整ってきた。

 ここでも、USTREAMのようなサイトで行うのか、自社で行うのか悩ましいところだ。USTREAMでは、YouTubeと同様でほぼ無料でライブ配信を行うことができる。コスト面では魅力的であり、手軽にライブ配信でのマーケティングが試せるサービスである。Twitterとの連携も提供されているので、ライブ配信を口コミで広げる施策も提供されている。

 YouTubeで動画配信をする場合と同じだが、結局ライブ配信を行う場合でも、何を目的とするのかを明確にしておく必要がある。ライブ配信では、ライブ中のトラフィックはもちろんであるが、実はTwitterやFacebookに残されたつぶやきやコメントからサイトへやって来るトラフィックがバカにならない。

 当日の模様が録画されているケースも有り、それを見たいために来訪したユーザーのトラフィックが期待できる。商品やサービスの認知度向上という目的では、USTREAMなどの外部サービスを使うことで成果を上げることができるが、顧客獲得や商品販売などの目的では、やはり自社のサイトへ誘導しなければならない。

 動画でマーケティングと一口に言っても、様々な方法があることが理解いただけたのではないだろうか。認知度向上という点にフォーカスをすれば、YouTubeやUSTREAMのようなメディアサイトで検索結果や口コミを利用するという手法が、定着しつつある。検索エンジンとしても第2位を占めるようになってきたYouTubeを利用すれば、キーワードによる動画発見により商品やサービスを知らない潜在顧客へアプローチすることができる。

 一方、認知度向上から一歩進み、顧客獲得や商品の販売などユーザーのアクションを喚起し、それを捉えることができるのが自社サイトでの活用である。動画による商品の提案を、自社サイトで行うことで、自社商品、サービスのより詳細な情報の提供とユーザーとのコミュニケーションを図り、顧客獲得や商品販売へとつなげていけるのだ。このように、役割分担を明確にし、活用していくことが、動画マーケティングを成功させる近道である(取材協力:ブライトコーブ)。

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この記事の著者

動画マーケティング研究会(ドウガマーケティングケンキュウカイ)

日々、動画マーケティングの最新動向や活用状況をウォッチしている研究機関。MarkeZine編集部に常駐。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/12/04 12:56 https://markezine.jp/article/detail/14505