お国柄を反映した中国独特のクーポン例
3.9元(約47円)支払うだけで彼女ができるかもしれないグルーポン
中国では「剰男」や「剰女」という言葉があります。これは読んで字のごとく「余った男」と「余った女」を意味しており、結婚適齢期を過ぎても結婚できない男女のことを指しています。
男女の出生率にも関係していますが、中国では女性よりも男性の方が結婚ができない人数が圧倒的に多いと言われており、2020年には結婚したくてもできない男性が4,000万人に及ぶという予測もあります。
こうした事情から、最近中国では「恋爱培训班」と呼ばれる男性向け恋愛成就セミナーが盛んに行われています。どうすれば異性の注目を集められるか、またはどうすれば自分好みの女性とお付き合いすることができるかなど、恋愛ノウハウを提供するものです。
このような恋愛成就セミナーを運営する企業が、自社の認知度向上を目的としたプロモーションとして、“3.9元で彼女ができるかもしれない”というクーポンを出したことがありました。内容としては、次のようなものです。
まず、クーポンを3.9元で購入すれば、その企業の運営する恋愛教室に参加し、恋愛ノウハウを学ぶことができます。その後、教室が用意した女性と出会うことができ、ここで、もし気に入ってもらえれば、その女性とお付き合いをすることが可能というものです。
クーポン購入状況も好評だったようで、男性余りの中国結婚事情を反映した中国独特のクーポンの一例であると言えます。
プロカメラマンによる写真撮影のクーポン
日本でプロのカメラマンに写真を撮ってもらうことは、結婚式や七五三など何か特別なことがない限り中々ないかと思いますが、中国では特に女性の間でプロカメラマンに写真を撮ってもらうということが一般化しています。
例えば、街やリゾートなどでプロカメラマンに撮影してもらっている新婚の中国人カップルなどを見かけることが多々あります。中国に行ったことがある方なら遭遇したことがあるかもしれません。
また、女性の間では、友達同士で様々なポーズや衣装を着て写真館で写真を撮ってもらうことがちょっとしたイベントとして定着しています。日本で言うプリクラの豪華版といったところでしょうか。
このような事情を背景に、中国では写真館が共同購入クーポンに参加しているのをよく見かけます。例えば、定価10,000元する撮影パッケージが2,000~6,0000元程度で提供されており、スタジオ内外など複数のロケーションでの撮影はもちろん、ウェディングドレスやチャイナドレスなどの貸与、ヘアメイク、最後に写真集やDVDデータとして写真を納品してもらうといった内容です。
人気の“プロによる写真撮影”のニーズに共同購入クーポンを繋げた、中国ならではの好例と言えるでしょう。

世界一の市場規模となった中国、今後はルール整備などが課題
今回は、中国の共同購入クーポン市場の状況を紹介しました。冒頭でも述べたとおり、現在5,000を超える企業が凌ぎを削っており、遅かれ早かけれ市場淘汰・統合が進み、最終的には多くとも5社程度に集約されていくであろうと予想されています。
また他国同様、急激な市場拡大に伴い、人材育成と市場ルール整備が急務と言われています。「ガオポンワン」は、競合他社の社員を高額で引き抜いた末の大量リストラにより、現在労働争議にまで発展しています。
共同購入クーポン事業会社の一社「オーオータン(窝窝团)」は、「ガオポンワン」を反面教師に、事業者と社員間での労働争議のような事態を引き起こさないために、正しい人材育成を目的とした共同購入市場のノウハウシェアや研究を目的とした社内大学(窝窝团购大学)を設置しています。開設当初は自社の人材育成のためだけにやっていたようですが、現在は中国共同購入クーポン業界に興味があれば、誰でも参加できるようになっており、モラルの高い人材育成の輩出に努めているようです。
このように、まだまだ混沌とした状況の中国共同購入クーポン業界ですが、むしろ最速で市場規模世界一となった状況を鑑みて、今後は市場整備や業界ルールなどの面で、世界のリーダー的役割を果たすことができるとも言えます。13億人という巨大マーケットをターゲットにできる中国だからこそ、今後は模範的な動きを見せてくれることに期待したいと思います。