登壇したのはeBayのアナリティクス・プラットフォーム担当VP、ボブ・ペイジ氏。
eBayは、自ら商品を売るのではなく、マーチャント(出品者)と購入者をつなげるマーケットプレイスだ。“オークション”というイメージも強いが、最近では固定金額の商品も増えている。このようなビジネスモデルにおいて、何に取り組み、アナリティクスをどう活用しているのだろうか?
環境の変化に伴い増加する出品者の課題
ソーシャル、モバイル、ローカル(地域性)、デジタルなど、ビジネスを取り巻く環境は急速に変化している。特にモバイルにおける動きはeBayにおいても顕著で、2011年には世界のeBay全体で流通高が50億ドルを超える見込だという。
このような環境において、個人から中小企業、そして大企業まで、出品者はさまざまな課題を抱えている。技術革新に追いつく必要があるだけでなく、チャネルのマルチ化、デマンドジェネレーション(広い意味でのリードジェネレーション)、グローバル規模での競争など、出品者にとっての課題は多岐に渡る。
eBayの重視する4つのキーワード
こうした背景を基に、出品者・購入者の双方をサポートするためeBayが重視している“価値”として4つのキーワードが紹介された。
左側の2つが売る側(出品者)にとってのキーワードで、Velocityは「(商品が)売れる速度」、Efficiencyは「手続きの効率」を意味する。右側の2つは買う側にとってのキーワードで、Selectionは「品揃え」、Trustは「信頼」だ。アナリティクスを活用することで、データドリブンでこれらを強化し、eBayとしての価値を提供しているという。
例えばTrust(信頼)に関する取り組みとしては、顧客からのフィードバックを基にスコアをつけ、優良な出品者にバッジを表示するといったことが行われている。これにより流通高が22%から32%に上がったという。このスコアリングは、大量データの解析結果に基づく独自アルゴリズムを採用している。
「Selection」に関する取り組みの一例としては、ジャンル別の商品検索の強化が挙げられる。これは、購入者が欲しい商品を見つけやすくするためだ。下図は、「車のタイヤ」と「アパレル」それぞれのジャンルにおける検索画面だ。これを見ると分かるように、商品の検索結果を単純に並べるのではなく、各ジャンルに特化した切り口や選び方ができるような検索コンテンツが用意されている。
さらに、「eBay Motors」「eBay Fashion」などジャンルに特化したiPhoneアプリも提供されている。これらは、データ解析の結果に基づく施策だという。
戦略の実行を可能にしている包括的なアナリティクス
eBayでは、1秒間に5万以上のカテゴリ(商品数ではない)が売れているという。この世界最大のマーケットプレイスを運営する同社が、特に力を入れているのがアナリティクス(データ解析)だ。eBayにおけるアナリティクスは12種類に分類される。
ここで「Webアナリティクスは入れ忘れたよ」というジョークに一同爆笑。実際のところ、Webだからと特別に切り出すことはしていないという。Webはこれらの全てに関わってくるため、分類としては大きすぎるのだろう。マーケティングですらアナリティクスの一部でしかないのが興味深い。企業内のあらゆる側面で大量データを活用する環境を構築しているのだ。