デモンストレーションをWebサイトから募集する
製品のデモンストレーションは、BtoBの営業プロセスの中でもキーになっている場合が多い。デモンストレーションを行うことができれば、製品を実際に見てもらうことができる。製品に自信がある営業にとってはこの上ない営業チャンスだろう。
製品を見ながら、顧客が希望している機能や性能をヒアリングすることもできる。ある程度の信頼関係を築くことができれば、導入費用への感触から予算を探ることができたり、デモへの参加者からキーマンを探ることもできる。
製品を知ってもらうだけでなく、営業上貴重な情報の宝庫だ。
ところが、Webサイトでデモができます! と宣言している企業サイトは案外少ない。新規の顧客からすると、デモを気軽にお願いしていいものか、どうか分からない。そこで、プロジェクトCではWebサイト改善に当たって「デモをできる」ということをはっきりとサイトで宣言しようということになった。
デモ実施を宣言することは各社内部門から異論はなかった。他社を分析しても、実際はデモを行っているが、デモができると宣言している企業もなく、営業の差別化という意味においても有効だろうという判断だ。
そのときに行わなければならなかった判断が、デモンストレーションは訪問して行うべきか、デモンストレーションは自社で行うべきか、という選択だった。デモ実施自体には異論はないが、実施方法では意見が対立することとなる。
デモンストレーションは行くべきか、来てもらうべきか
当時の営業部門からの主張では、デモができると宣言する以上、どんな顧客から依頼が来るか分からない。遠方から依頼がくれば困ってしまう。まったく顧客になりえない小企業が来るかもしれないし、競合が探りを入れてくるかもしれない。リスクを回避するためには、自社に来てもらえればある程度対応は可能だというのだ。デモ機の確保も人員の確保もしやすい。デモを行う側の主張としては至極当たり前の主張だろう。
一方、マーケティング部門からの主張は、どんな顧客でも行くべきだというものだ。どんな小さな接点でも大事にすることで、今すぐ売り上げにならなくとも将来の売り上げになるかもしれない。商談にならなくとも、リード情報を獲得できれば会社の資産にもなる。Webサイトに公開する以上は、なるべくオープンに対応を行おうというものだ。こちらも一理ある。
すぐに決着はつかなかった。そこで、改めて過去のデモンストレーションを振り返ってみてもらうことになった。