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進化するアドテクノロジー ― DSPを活用した次世代広告配信のすべて(AD)

「DSPをギロッポンに例えると…」業界キーマンが語る、DSPの可能性とマーケターの役割

 インターネット広告の市場において、数々の通販広告主のネット事業を大成功に導き、「レスポンスの魔術師」の異名を取る加藤公一レオ氏とマイクロアドプラス西山氏にDSPの可能性について、そしてマーケターの今後の役割についてをテーマに、語っていただきました!

今回お話を伺ったのは…
株式会社売れるネット広告社
加藤 公一レオ氏
1975年ブラジル・サンパウロ生まれ、アメリカ・ロサンゼルス育ち。三菱商事株式会社に入社。その後、Euro RSCG Tokyo、株式会社アサツーディ・ケイ(ADK)にて、一貫してインターネットビジネスを軸としたダイレクトレスポンスマーケティングに従事。現在は単品通販が数多く存在する九州において、インターネット広告ビジネスの総合プラニングおよびコンサルティング活動を行っている。その実践経験とノウハウをもとに、インターネット広告のレスポンスを確実にアップさせてしまうため、クライアント企業から「レスポンスの魔術師」との異名をとる。
株式会社マイクロアドプラス
西山 明紀
大学卒業後、ベンチャー企業にてWEBデザイナー、システム設計等に携わったのち、株式会社サイバーエージェントに入社。Amebaをはじめとした広告企画販売に従事。株式会社マイクロアドへ出向後は、セールスマネージャーとして大手総合広告代理店やインターネット専業代理店を担当する組織を牽引。2011年4月より、広告主にDSPをはじめとしたアドテクノロジーを提供・支援を行う株式会社マイクロアドプラスを設立。代表取締役社長に就任。

釣堀と海釣に例えると…

 MarkeZine編集部(以下、MZ)── 次世代ディスプレイ広告プラットフォームであるDSPについて、売れるネット広告社の加藤公一レオさんとDSPをリリースされているマイクロアドプラスの西山さんにお話しを伺っていきます。まずは、レオさんに質問ですが通販のプロマーケターから見て、DSPはどのようなソリューションとなりそうでしょうか。

 加藤公一レオ(以下、加藤):DSPについての話の前に、まずディスプレイ広告の話をさせてください。

 そもそも通販業界は、まだSEMやアフィリエイトが中心の世界です。これらの手法は、費用対効果として考えると効率が良いのですが、そもそも顧客が顕在化している市場なのでぶっちゃけアホでも採算が取れてしまいます。その代わり、接触できるユーザー数がものすごく少ない。

 それに対して、ここ2~3年で注目されているディスプレイ広告はリーチがとてつもなく広いですが、これまで効率的に利用されてきているとは言えません。

 SEMとアフィリエイトをあらかじめ魚が用意されている“釣堀”と例えると、ディスプレイ広告は魚がどこにいるのかわからない“海釣り”と言えるでしょう。

 当然、釣堀に比べ海には魚が圧倒的に多く存在します。つまり、きちんと正しいマーケティングを行うことで、従来とは比べものにならない数のユーザーに商品を購入を促すことが可能です。

 MZ── SEMやアフィリエイトとディスプレイ広告では、取り組み方は異なるのでしょうか?

 加藤:はい、全然違います。ディスプレイ広告は海釣りと言いましたが、日本のディスプレイ広告メニューは、それこそ海の如く約1万近くのメニューが存在し、掲載位置や値付けもばらばらです。

 そのような中、安価な枠も高額な枠も同時に複数購入し、地道に出稿を行い、時間をかけてその顧客や商品にとって何が最適なのか、効果検証を行った結果、最適なマーケティングのやり方が浮かび上がってきます。つまり、ディスプレイ広告の出稿は、広告主にとって多大なリスクが伴ってしまうのです。

 この多大なリスクを夜のギロッポンで例えてみましょう(笑)。自分が理想とするとびっきりの女性を、ギロッポンで見つけたいとしたら…。

 時間をかけて数あるお店を回り、お店の中で好みの女性を探しだし、やっと指名し話をしてから、フィーリングを確認するという手順を踏むことになります。すなわち、男性には多大な費用と時間がかかるというリスクが発生するのです。

 MZ──ギロッポンの視点は斬新ですね(笑)。レオさんの指摘について西山さんはどう感じますか。

 マイクロアドプラス西山(以下、西山):レオさんがおっしゃる通り、ディスプレイ広告の運用にはリスクが伴います。複雑で手のかかるディスプレイ広告をリスク少なく一元管理しようという考え方から登場したプラットフォームがDSPとなります。

 加藤:ディスプレイ広告を海釣りに例えましたが、「DSP」とは海釣りを行うために使用する「魚群探知機」のようなもの。今まで広告主がリスクを負って検証してきたステップを、DSPが代わりとなり最適な魚がいるところへ導いてくれる。

 ギロッポンで再度例えると(笑)、今までのように広大な夜のネオン街で、勘や経験値を用いて綺麗な女性がいる場所まで手探りで向かう必要がなくなる。熟練の遊び人じゃなくても、綺麗な女性がいる最適なお店にまではシステマティックに到達できるようになるわけです。

 DSPは、広告主にとってディスプレイ広告の運用におけるブレークスルーとなる可能性は多いに高いと感じます。

マーケターの役割とは

 MZ── DSPが自動的に最適化を行なってしまうと、マーケターの役割や重要度は減るのでしょうか?

 加藤:いいえ、そんなことはありません。私もDSPを利用していますし、自身の会社でランディングページやフォロメールなどの作成ツール(注:「売れるネット広告つくーる」)をリリースしていますが、人間が思考しなければならない部分はむしろ増えています。

 クリエイティブやLTV(ライフ タイム バリュー/顧客生涯価値)戦略など、最適化の前提となる仮説や最初の検証項目は、人間が考えるしかありません。そもそも自動最適化とはマーケティングにおけるソリューションとして存在するのではなく、マーケターを単純作業から解放するためにあるのです。

  西山:私もレオさんに同意ですね。弊社のDSP(注:MicroAd BLADE)は、人力で行うと膨大な時間がかかる作業をシステマティックかつ一元的に管理することで、余った時間をマーケティングの本来の目的である「売るための仕組みづくり」に専念してもらうという考え方を元にサービスを設計しています。

 そのために、効果検証や多角的なレポーティングなどが簡単に行えるような設計となっており、単純作業は徹底的に簡素化できる設計となっています。そういった意味で、弊社のDSPはRTBなどの先端技術を実装しつつ、地味な作業を簡素化するソリューションという側面も持ち合わせています。

 加藤:それはいいですね。アドテクノロジーの世界は、華やかで耳障りのよい言葉が飛び交っていますが、テクノロジーあくまでも“手段”であり、それ自身を絶対に“目的”にしてはいけません。

 自動最適によって単純作業を減らすことで、プランニングなどの知的生産に費やす時間を増やすことが本質なのだと思います。

 私もよく言っているのですが、テクノロジーが進化した分、人であるマーケターが商品や消費者を見極め、売るための企画力も進化していかないと広告主の満足度は高まりません。

 自動クリエイティブ生成ツールや自動最適化ツールなどがある状況とはいえ、それだけに頼っていたらテクノロジーは「アホマーケター量産装置」になることもある。

DSPが引き起こすマイナス面

 MZ── レオさんから見て、DSPによる最適化が引き起こすマイナス面はあるのでしょうか?

 加藤:ひとつは、先程述べたような「アホマーケター」が量産されてしまう危惧です。配信面=海、配信ユーザー=魚群とした場合、多くの有望なユーザーがいる場所までは自動的に到達できるので効率化できる反面、「売るための仕組みづくり」を考えなくなるマーケターが増える恐れがあります。

 もう1点は機械化による”自動最適の罠”です。むしろ、こちらの方が危険です。

 MZ── それは、どういう意味でしょうか。

 加藤:自動最適化はシステムが実施するため、従来行っていた効率化のノウハウが知見として溜まらなく恐れがあるということです。

 自動最適が登場する以前は、多くのディスプレイ広告をあらゆるパターンで実施してみて最適なパターンをスプリットランテスト(A/Bテスト)して探り、その広告主・商品にとっての最適解を探るのが常でした。

 例えば、今まではクリエイティブを入稿する際は“キャッチコピー違い”や“写真違い”や“デザイン違い”などあらゆるパターンをスプリットランテスト(A/Bテスト)して、効果測定データをしっかりと検証し、キャッチコピー、写真、デザインの各要素において、どのようなクリエイティブだとレスポンスが高まるのかのノウハウが、マーケターに溜まっていきました。

 ただし、自動最適化はシステムが実施するため、これまでのような効率化のノウハウが知見として溜まらなく恐れがあります。

 検証によって得られた知見やノウハウは、今後のクリエイティブ作成の際に大きく役立ちますから、自動最適を行う際に、マーケターは今まで以上にデータの見方や行方を注視しなければなりません。

 西山:現場からの貴重な意見ありがとうございます。弊社のDSPは効果検証のための原稿入稿は事実上無制限に行えますので、広告主の用途に応じて比較検証して頂きたいですね。

 レポートに実装できる項目も現在が完成形ではないので、ご要望を取り入れ進化させていきます。

 MZ── DSPの配信手法の一つであるオーディエンスターゲティングについてはどのようにお考えでしょうか?

  加藤:今までの広告、マーケティングは、いかに相性のよい広告メニューを探り当てるのか? という点が主な検証項目でした。オーディエンスターゲティングの登場により、ユーザーに直接広告を配信することが可能となるので、それは大きな進化だと思いますよ。

 私が専門とするダイレクトマーケティングは、広告での初回受注は単なるきっかけであって、その後のリピートやクロスセルで利益を出すことがビジネスのキモとなります。

 つまり、広告枠ではなく人である消費者とのリレーションがすべてですから、最終消費者と似ている趣味趣向を持っている、「まだ出会っていないユーザー」に広告を配信できるというのは、広告主にとっても大きな魅力ではないでしょうか。

 MZ── 最後に加藤さんから見て、今後のDSPへ期待することはなんでしょうか?

 加藤:今後も広告主のディスプレイ広告に対する費用対効果の意識はどんどん高まり「売りに直結するマーケティング」を求めてくるでしょう。

 DSPには、単品通販の新規獲得だけではなくCRMモデルにも切り込めるようなデータマネジメントの分野での技術進化を期待したいですね。

 あと、誰でも簡単にギロッポンでお目当ての女性を見つけられるような技術もお願いします(笑)。

 西山:弊社もDSPはじめさまざまなソリューションを提供していますが、アドテクノロジーは目的でなく手段と認識しています。より広告主が価値を体感でき、マーケターが豊かになるような技術の向上に邁進してまいります。

 ギロッポンは残念ながら、技術ではなくトークなど人間味に関する部分なので弊社では差し控えたいと思います(笑)。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/01/24 11:00 https://markezine.jp/article/detail/14985