理想的な状態は「続きは営業で」
ただし、注意しなければならないのは、Webオリジナルのコンテンツがたくさんあればよいというわけではないということだ。
予算にも労力にも限界がある。問合せに至る前段階では、製品・サービスに対する期待感をしっかり高めるためのコンテンツが必要最低限あれば十分だ。その目的を果たし、問合せが獲得できれば合格点と考えてよいだろう。
理想的な状態は、Webサイトでは問合せに十分な訴求ができ、営業に引き渡したとき情報の質が深まるようにすることだろう。営業フェーズでは、Webコンテンツで紹介された内容が、より個別的で、より具体的な内容に深まっていくように設計しなければならない。人的な営業プロセスが得意とする局面に持ち込むのだ。
例えば、


といった形で役割分担を設計できる。
よくTVコマーシャルなどで「続きはWebで」といって、Webサイト上でさらなる情報を深めることを促すことがある。BtoBにおいては、「続きは営業で」という状況を作り出せるかが勝負なのだ。
ここで、H社の話に戻ろう。H社では、カタログや定型提案書からの引用をやめ、改めて会社の強みを振り返ることとなった。すると「単純に製品を導入するのではなく、導入環境に適応するように、かつオーバースペックになり過ぎないように丁寧に製品導入を支援する」という点を打ち出そうということになった。
たくさんの事例よりも、焦点を絞った事例を紹介し、一人ひとりの顧客と心底向き合ってお付き合いするという文脈が伝わるようにコンテンツを整理しなおした。すると、営業部門への問合せは具体的な要望が入りやすくなり、営業部門からは「初回営業がしやすくなった」とWebサイトが評価されるように変化してきた。
Webサイトの目的に合わせて的確にコンテンツを編集
今ある情報を紙のまま活用するのは、お勧めできる方法ではない。仮に紙の情報源を使うとしても、WebサイトはWebサイトの目的に合わせて的確に編集をしなければならない。営業プロセス全体を見渡したとき、情報の重複により現場での営業を邪魔してしまう可能性があるのだ。
まだまだ、BtoBのWebサイトにおいては、Webサイトのために新たにコンテンツを作るという文化が乏しいのかもしれない。しかし、他社よりも成果を上げるためには必須の要件となっていると考えてよいだろう。
もし自社のサイトで営業成果が出ていないのであれば、『Webサイトを「何から」つくったか?』を振り返ってみていただきたい。