サイト内検索アナリティクス(SSA)によるメリット3~8
3.独自用語を減らせる
ある大学では、「COD」(College on Demand)という名称を用いていたが、サイト内検索では「online」というキーワードの方がより頻繁に検索されていた。コンテンツのタイトルをユーザーの認知するキーワードと統一することで、検索にヒットする確率を高めることができた。これにより、機会損失の回避と問い合わせ対応のコスト削減が可能になった。
4. オーディエンスごとのニーズを理解できる
たとえば大学のサイトでは、学生とスタッフでは求める情報が異なる。それぞれに分けて分析することで、想定人物像としてのペルソナを事実としてのデータで補完できるようになった。

5. コンテンツ公開タイミングを判断できる
ミシガン州立大学で検索された人気キーワードの月別の推移を分析したところ、ニーズのトレンドが分かった。例えば、フットボール関連のキーワードはシーズンである9~10月に頻繁に検索される。

6. 見つからなかった状況から学べる
どのページでサイト内検索を利用したのかを調べると、ナビゲーションと検索性の面で問題を抱えているページが分かる。
たとえば、AIGAのサイトの「Professional Resources」のページには、デザインのプロフェッショナル向けに給与水準調査結果や規約、契約書のテンプレート、コンペ情報などへのリンクを掲載しているが、そのページを閲覧した後に「jobs」(求人情報)、「pricing」(価格付け)、「resume」(履歴書)などのキーワードが検索されている、と分かった。
サイト運営側とユーザーにとって「プロフェッショナル向け情報」は別の意味を持っている、ということを示唆している。サイト内で実際に見つかる情報と求めている情報を比較し、そのギャップを埋めることで、機会損失を減らすことができる。

この分析では、単純に検索回数を見るだけではなく、ビジネス目的に沿ったゴール指標(コンバージョン)を定義すると良い、とローゼンフェルド氏は主張する。
例えば、動画ストリーミングのNetflixでは、「動画の検索回数」に加えて、「動画のクリック率」や「動画がキュー(後で見るリスト)に追加された回数」もコンバージョンとして定義されていて、総合的に分析が行われている。
キーワード別に複数のゴールを分析し問題を発見している。

7. プロジェクト失敗を避けられる
バンガード社は、検索エンジンを変更する際に、検索結果の品質を前後比較することで、検索の品質低下を事前に検知し、改善することができたという事例が紹介された。
ヒット件数や所要時間のようなIT部門が注目する指標ではなく、ユーザーにとっての「関連度」「精度」を数値化することで、新旧の検索エンジンが表示する検索結果の品質を定量的に評価することが可能になったのだ。初期品質の担保だけでなく、リニューアル後に検索エンジンの精度を継続的に高めることも可能になったという。

8. ニーズを予測できる
前述のFT.comでは、人名と社名による検索のトレンドを調べて編集部門に伝えることで、ニーズに対応した記事を迅速に掲載することが可能になった。