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eMetrics Marketing Optimization Summit, San Francisco, 2012

「ほとんどのダッシュボードは失敗作」
eMetrics: Marketing Optimization Summit基調講演レポート


ダッシュボードでよくある3つの間違い

 全体像や変化を監視するためには、視覚化が最適。人間の感覚は、視覚が最も優れていて、理解までのスピードも速い。数字とテキストのみの場合は一つずつ読む必要があるが、視覚的に表現することによって、全体を一度にスキャンし知覚できるようになる。

 ところが、ダッシュボードのデザインには、13ものミスがよく起こっていることをヒュー氏は発見したという。そのうち、セッションでは3つが紹介された。

1. 一つのスクリーンに収まっていない

 人間の短期記憶には、3~4つのチャンク(情報のかたまり)しか記憶できない。1950年代にはG・ミラーの研究により7プラスマイナス2(5~9)がマジックナンバーだという説が一般的だったが、最近の研究ではもっと少ないことが分かってきた。

 縦に長く、スクロールしないと全部を表示できないページもNGだが、タブなどによって表示を切り替える方式もNG。一つのスクリーンに収まり、全体を見渡せることが重要、という。

2. 不適切なチャート形式を選んでしまう

 円チャートと棒グラフ、などグラフのタイプを間違えて選んでしまうことが多い。

 たとえば、項目別の割合の大小を比較する場合は、円グラフではなく棒グラフにし、項目間の比較を視覚的に伝える必要がある。

 また、ドロップ率を表すためにファネルを使う場合があるが、本物のファネルのように表現する必要はない。変化の推移を表すなら、棒グラフの方が分かりやすいことが多い。項目別の値のトレンドとは別に、相対的なドロップ率の棒グラフも並べると良い。

3. データに不要なコンテキストを与えてしてしまう

 ダッシュボードだからといって車のゲージを真似する必要はない。冗長な表現が無駄なだけでなく、針の傾きなど、余計なコンテキストが加わってしまう。逆に、メタファーにこだわる結果、必要な情報が欠如してしまうことがある。

 たとえば、過去のトレンドやゴールとの乖離など、意味を伝えるために必要不可欠な情報は網羅しよう。エドワード・タフティ氏で有名なスパークラインも役に立つ、とヒュー氏は続けた。

言い訳はやめて実践しよう

 最後に、ダッシュボードの良い例が紹介された。

 「原則はシンプルであって、覚えるのは簡単。言い訳はやめて実践しよう」とヒュー氏は主張しセッションが締めくくられた。

 ダッシュボードに限らず、最近はインフォグラフィックスとしても不適切なデータ視覚化を目にすることが増えた。データの解析をビジネスに活用するためには、データの取得や管理、解析手法だけでなく、伝えるための表現について改めて考え直す必要があるのだろう。

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この記事の著者

清水 誠(シミズ マコト)

Webアナリスト/改善リーダー。

1995~2004年まで凸版印刷・Scient・RazorfishにてWebコンサルティングやIA・UI設計に従事した後、事業会社側へ転身。UX/IAやデジタルマーケティングの導入による社内プロセス改善の推進と事例化を行っている。ウェブクルーでは開発・運用プロセスを改善し上場を支援、日本アムウェイでは印刷物のデジタルワークフローとCMS・PIMを導入、楽天では...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2012/10/25 17:34 https://markezine.jp/article/detail/15398

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