ダッシュボードでよくある3つの間違い
全体像や変化を監視するためには、視覚化が最適。人間の感覚は、視覚が最も優れていて、理解までのスピードも速い。数字とテキストのみの場合は一つずつ読む必要があるが、視覚的に表現することによって、全体を一度にスキャンし知覚できるようになる。

ところが、ダッシュボードのデザインには、13ものミスがよく起こっていることをヒュー氏は発見したという。そのうち、セッションでは3つが紹介された。
1. 一つのスクリーンに収まっていない
人間の短期記憶には、3~4つのチャンク(情報のかたまり)しか記憶できない。1950年代にはG・ミラーの研究により7プラスマイナス2(5~9)がマジックナンバーだという説が一般的だったが、最近の研究ではもっと少ないことが分かってきた。
縦に長く、スクロールしないと全部を表示できないページもNGだが、タブなどによって表示を切り替える方式もNG。一つのスクリーンに収まり、全体を見渡せることが重要、という。
2. 不適切なチャート形式を選んでしまう
円チャートと棒グラフ、などグラフのタイプを間違えて選んでしまうことが多い。

たとえば、項目別の割合の大小を比較する場合は、円グラフではなく棒グラフにし、項目間の比較を視覚的に伝える必要がある。
また、ドロップ率を表すためにファネルを使う場合があるが、本物のファネルのように表現する必要はない。変化の推移を表すなら、棒グラフの方が分かりやすいことが多い。項目別の値のトレンドとは別に、相対的なドロップ率の棒グラフも並べると良い。

3. データに不要なコンテキストを与えてしてしまう
ダッシュボードだからといって車のゲージを真似する必要はない。冗長な表現が無駄なだけでなく、針の傾きなど、余計なコンテキストが加わってしまう。逆に、メタファーにこだわる結果、必要な情報が欠如してしまうことがある。
たとえば、過去のトレンドやゴールとの乖離など、意味を伝えるために必要不可欠な情報は網羅しよう。エドワード・タフティ氏で有名なスパークラインも役に立つ、とヒュー氏は続けた。
言い訳はやめて実践しよう
最後に、ダッシュボードの良い例が紹介された。


「原則はシンプルであって、覚えるのは簡単。言い訳はやめて実践しよう」とヒュー氏は主張しセッションが締めくくられた。
ダッシュボードに限らず、最近はインフォグラフィックスとしても不適切なデータ視覚化を目にすることが増えた。データの解析をビジネスに活用するためには、データの取得や管理、解析手法だけでなく、伝えるための表現について改めて考え直す必要があるのだろう。