グーグルが発表した「ナレッジグラフ」は、ユーザーが検索したときに、ランドマーク、著名人、都市、スポーツチーム、建築物、地理、映画、天体、芸術作品などについての関連情報を表示し、ユーザーが正しい情報を得られる手助けをする。
この機能によって、検索はどのように変わるのだろうか。ナレッジグラフ導入後の検索結果ページでは、右側にさまざまな関連情報が表示される。ユーザーはそのうちのどれかをクリックすることで探していた情報を入手し、グーグルもユーザーが探していたものは何だったのかを知ることができる。しかしこれは、単なるキーワードをもとにした関連情報の表示ではない。
正しい検索結果を提供するために、グーグルは現実世界のものごとと、その関係性を理解するためにインテリジェントモデル(ギーク用語で言うところの"グラフ")を構築。Freebase、Wikipedia 、CIA World Factbookのような情報源だけでなく、独自に情報を増強し、5億件以上の項目(オブジェクト)と関連情報など35億件以上のファクトデータを集約している。ここから膨大な数のウェブページの情報を収集することを推し進めるだけでは提供できない検索体験が生まれる。ユーザーは、博覧強記の人物に質問し、「君が知りたいのはこれかい?」と聞かれるのと似た体験をすることになるだろう。
さらにナレッジグラフは、キーワードに関連するコンテンツを要約して表示する。たとえば、"マリー・キューリー"を検索すると、ユーザーはキューリー夫人がいつ生まれ、いつ死亡したか、彼女の受けた教育や科学上の発見に関する詳細を知ることができる。マリー・キューリーはナレッジグラフではひとりの人物であり、彼女には2人の子どもがおり、そのうちの1人もノーベル賞を受賞、家族にとって3つめのノーベル賞を獲得していることもわかる。
これらのすべてはナレッジグラフ内でリンクしている。ナレッジグラフは単なるオブジェクトのカタログではなく、これらの相互関係もすべてモデル化される。こうした情報の中から、ユーザーは思わぬ発見をするかもしれない。また、「People also search for(他の人はこれも検索しています)」機能から、新たな興味をかき立てられる人もいるかもしれない。
グーグルは、米国の英語ユーザーに向けて段階的にナレッジグラフの表示を開始した。今後は、スマートフォンやタブレット上でも利用できるようになる。
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