20年続くWebサービスってどんなものだろう
サービスインから13年、今後の展望は。
「昔は、『1曲でも大ヒットが出れば』とか考えていたんですけど、それは僕らがやることじゃないというのに気づいたんです。今は10年やったから、20年続くWebサービスってどんなものなんだろう、長く続くサービスってなんだろうって。投稿型の音楽配信サイトで撤退したサービスも多数あるので、続けることが目標ですね。
それから、街を歩いててライブやってるヤツらを見ると、まだmuzieに登録してないヤツらがけっこういるんですよ。その打率を上げていきたいなと。うまかろうが下手だろうが、誰でも投稿できるのがmuzieですからね。そこで歌ってるヤツも、あそこで歌ってるヤツもみんな登録させたい。
でもいったい、あと何組日本で音楽やってるヤツが残ってるんだろうって(笑)。けっこうハードル高いと思うんですよ、オリジナルが作れて、何らかの形で録音できる。カラオケがうまく歌えるだけじゃ登録できないですから。アーティストの打ち止めだけ、ちょっと心配しています」

音楽はビジネスになりすぎたのではないか。重岡さんのお話をうかがって、そんな感想を持った。価値あるものを提供することによって見返りがあり、それで食っていくという人たちは、今も昔も一定数いるはずである。それがいつの間にかビジネスとなり、固定化し、大きくなった。そこにビジネスマンとしてだけ参加した人たちは、モデルが変わろうとするときに行き場を失ってしまう。そして、「食えない」という話になる。
旧来のビジネスモデルで食えなくなったときに、その業界に残るか残らないか。コンテンツ産業で働く人たちは、ネットによってその問題がつきつけられているのではないだろうか。