POS端末への非接触決済技術の搭載
2010年12月6日にリリースされたAndroid 2.3から非接触決済技術であるNFCがサポートされ、急速な勢いで普及していたAndroidにNFCが採用されるということでNFCというキーワードに対して世界的に注目が高まった。ピラミッドリサーチ社の予想では、NFCを搭載するスマートフォンの普及台数は2011年末の1750万台から2014年には2億5000万台に増加するという。
こういった動きもあり、NFCの活用方法の一つであるモバイル決済に関する動きが活発化している。
2010年11月にベライゾン、AT&T、T-MobileUSAといった携帯通信事業者が中心となりジョイントベンチャー「ISIS」を設立。2011年5月にGoogleがNFCを利用したモバイル決済サービス「Google Wallet」を発表。2012年8月には、ウォルマート、セブンイレブン、シアーズ、ベストバイ、シェル、といったガソリンスタンド・チェーンや大手のファミレスチェーンなど、大手小売業者14社によるMCX(Merchant Customer Exchange)が誕生した。スマートデバイスを起点とした様々なレイヤーで将来のモバイル決済市場の陣取り合戦が始まっている。

このような非接触決済技術を搭載した端末普及の流れもあり、POS端末への非接触決済技術の搭載が期待されている。ABI Research社によると2010年時点では非接触決済技術を搭載したPOS端末は10%程度であったが、2016年にはPOS端末の85%が非接触決済技術に対応すると予測している。
消費者が現金やクレジットカードではなく、NFCを搭載したスマートデバイスを持ち歩く。そうなった時に決済をする側の店舗に設置されるPOSは、従来のPOSの形のままである必要はあるだろうか。NFCが稼働するデバイスでソフトでPOSが提供できるようになれば、POSというハードウェアにこだわる必要は無いだろう。
IBMの読みにはPOSという仕組みが無くなることはないが、POSというキャッシュレジスターの形は今と大きく変化するという読みがあるのだろう。