リクルート初!ソーシャルグラフとレコメンデーションロジックの融合
前回の記事では自社のアクセスログ等にもとづいたパーソナライズ・レコメンドを紹介しました。今回は、リクルートで初めてとなるソーシャルグラフとレコメンデーションロジックの融合を実践した事例を紹介します。
ソーシャルグラフ・レコメンド≒ソーシャルグラフ・ランキング
調査会社コムスコアのデータによると、Facebookの日本の推定訪問ユーザー数は2012年9月時点で、2,043万人を突破し、日本人の約7人に1人は使っている計算となりました。
ネットマーケティングに関わっていらっしゃる方であれば、プライベート・仕事含め利用している状況ではないでしょうか。多くのインターネットメディアでも「いいね!」ボタンが設置され、Facebook上で広告を見ることにも慣れてきていると思います。
このような流れの中、2010年あたりからソーシャルグラフを活用した事例を徐々に目にすることが多くなりました。例えば、レコメンドに早くから取り組んでいるAmazonはFacebookと連動したレコメンデーションを先駆けて実装しています。また、米Levi'sはLevi's Friends Store を公式サイトへ用意。友人が「いいね!」を押した商品が並ぶパーソナルストアを実現し話題となりました。
ニールセンの調査によると、『ネット上の口コミ』よりも『知人からの紹介』のほうが、信頼度が20%も高い、という結果も出ており、今後ますますソーシャルグラフを活用したサービスや機能が増えると考えられます(出典:世界で最も信頼される広告形態は「知り合いからのおすすめ」「ネットのクチコミ」【ニールセン調査】,MarkeZine)。
ところが、ソーシャルグラフを活用したレコメンドと謳っているサービスや機能を厳密にみてみると、ソーシャルグラフを活用したランキングを表示しているだけという点に気づきます。
「その商品に友人Aさんが『いいね!』と言っています」「そのアイテムは友人○○人が『いいね!』しています」など単純に「いいね!」数のみでおすすめしています。これでは、ソーシャルグラフ・レコメンドではなく、ただのソーシャルグラフ・ランキングと言えるのではないでしょうか。
もちろん、このようなソーシャルグラフ・ランキングでも一定の効果は出せるでしょう。しかし、友人の多くが「いいね!」しているアイテムが、必ずしもユーザーの好みであるとは限りません。友人の中には好みや趣味が合わない人もいます。その人の「いいね!」や履歴でレコメンドされたアイテムをユーザーは好むのでしょうか? そのような条件を考慮せずに闇雲にレコメンドすると、ユーザーにとってうれしくないレコメンドとなり、下手をするとスパムのようなレコメンドになってしまいます。そして、結果的にそのようなサービスや機能はいずれ使われなくなってしまうでしょう。
では、どうすればユーザーの好みや趣味を反映したソーシャルグラフ・レコメンドを実現できるのか。「ホットペッパーフレンズ」というアプリの事例で紹介します。