ニワンゴが運営する「ニコニコ動画(RC)」は、Amazonアソシエイト・プログラムを導入し、ユーザーが動画に関連する商品の画像とリンクを、動画視聴画面に貼り付け、誰でも購入可能にするサービス「ニコニコ市場(仮)」を展開してきた。その「ニコニコ市場」が9月6日付けで、「ニコニコ市場(β)」として新サイトをオープンし、より商品を購入しやすくなった。また、これまでは、「ニコニコ動画」のプレミアム会員(有料)だけが商品を貼り付けることができたが、一般会員にもこの機能を開放した。
新たに「ニコニコ市場(β)」としてサイトをオープンしたことで、「ニコニコ動画」のサイトにログインすることなく、「ニコニコ動画」に貼られた商品を閲覧・検索可能になった。また、新商品の発売スケジュールを紹介する一覧機能や、コミックやDVD などのシリーズ物の作品について、第一巻から既刊部分までをまとめて購入することができる「まとめ買い」機能を追加。この「まとめ買い」機能は、シリーズ物の製品以外でもニコニコ動画内で話題の作品をまとめて購入できたり、著者別、アーティスト別などのパッケージで購入することができる。
「ニコニコ市場」がユニークなのは、「ニコニコ動画」の運営側でなく、ユーザー自身が動画にふさわしいと思った商品をAmazonから見つけて貼り付けることができる点。従来、コンテンツと商品を結びつけるのは、広告主から広告費を受け取っているサイト運営者の側だが、「ニコニコ市場」では、動画と商品を結びつけるのはユーザー自身。しかも、この機能は、あくまでも楽しみとしてユーザーに受け取られている。人気アニメの動画にその作品のDVDを貼り付けるのは当たり前、意外な商品をAmazonから探し出して貼り付け、それを誰かが購入する。そこに「こんな商品が売れてる(笑)」という楽しさがある。逆に、Amazonで、ネタとなりそうな商品を探し出し、これを貼り付けたら面白い動画はないか?という楽しみ方もあるだろう。そこには、「Amazonってこんな商品扱ってたんだ(笑)」という楽しさもある。
大量の動画が公開されている現在、ネットユーザーを動画に引き付けるのは並大抵のことではない。しかし、「ニコニコ動画」では、ユーザーが書き込んだコメント字幕によって、ペット自慢の動画であろうと、料理を作っているだけの動画であろうと、調子っぱずれの歌であろうと、字幕を含めて楽しめるものに変わる。「ニコニコ市場」は、そんな人気サイト「ニコニコ動画」を、巨大なオンラインショッピングのサイトに変貌させた。Amazonアソシエイト・プログラムからの紹介料は、現在ユーザーではなく運営側の収入となっているが、ユーザー自身はそんなことにお構いなく、動画を投稿し、商品を貼り付け、商品を購入している。
オンラインマーケティングの世界では、企業とユーザーの間に「コミュニケーション」や「絆」を構築することの重要性が説かれているが、「ニコニコ動画」と「ニコニコ市場」には、新しいユーザーとの関係性が確かに存在するようだ。
プレスリリース:「「ニコニコ市場(仮)」が機能を拡大し「ニコニコ市場(β)」として新装開店」(PDF)