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モーリ・タローの投げっぱなしソーシャル

「スモールワールド」から「スモールサークル」へ
小規模SNS「Path」の日本進出で考える

 「SNSで世界中の人とつながれる」といった話は一時期ほど聞かれなくなってきました。そして今、より小さな人間関係でのコミュニケーションに注目が集まっているようです。さまざまなSNSが、そのサービスの拠りどころとしている「ユーザーの人間関係の縛り」について、モーリ・タロー氏がその本質に迫ります。

小規模SNS「Path」が日本に進出

 非常に興味深いニュースが入ってきた。友達をスモールサークルに限定したモバイル専用のSNS「Path」が、日本およびアジアに本格的な進出を始めているというのだ。2月18日から開催されたSocail Media Week Tokyoのために来日したPathのMatt Van Horn氏(Vice President of Business)が明らかにしたらしい。このため元アマゾンの進藤公彦氏が2012年11月に日本のGMに就任している。

 Pathの利用者は全世界で600万人らしいが、1年前は100万人だったというから、かなりの成長といえるだろう。日本でも、まだそれほど規模は大きくないとはいえ、しっかりと愛用者がおり、少人数なスマートフォンSNSのなかでは草分けとして知られた存在だ。

 2012年のソーシャルメディア界隈は、Facebookがモバイル分野への進出が遅れて株価が低迷したり、日本でもそろそろFacebookの多様なソーシャルグラフの行き方が飽和して「Facebook疲れ」が囁かれるようになっており、小規模なモバイルSNSというコンセプトに世の中が追い着いてきた観すらある。

「スモールワールド」から「スモールサークル」へ

 Pathが2010年にローンチしたときには「友達50人限定」という規模の小ささが注目を集めたが、その後のリニューアルで友達の上限を150人まで引き上げている。この「150人」は、人が人間関係を維持できる友達の上限人数とされる「ダンバー数」から取られている。イギリスの人類学者ロビン・ダンバーが定式化したものだ。

 SNSという仕組みが次々と立ち上がった2004年ころは、同様に「シックス・ディグリー(6次の隔たり)」という言葉がよく引き合いに出されたが、こちらの数字は最近めっきりと耳にしなくなった。自分の知り合いの知り合いと次々にたどると6人で世界中の人に到達できるというもので、米国の心理学者スタンレー・ミルグラムの実験で知られる。

 これは「スモールワールド(世間は狭い)理論」といい、SNSでは世界中の人とつながることができるという広がりを喧伝するものだった。いまではすっかり逆に、SNSでは150人くらいのスモールサークルとつながるのが適切というところに落ち着いている。スモールワールドからスモールサークルへ。この9年間でSNSをとりまく状況は大きく変わった。

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この記事の著者

モーリ・タロー(モーリ タロー)

フリーダムなIT系編集者・ライター
90年代半ばからIT系書籍編集者として『FreeBSD徹底入門』『ウェブログ入門』『教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書』などを手がける。
2008年に独立し、ソーシャルメディア、オープンソース関連を中心に執筆活動を行う。
2012年4月から、株式会社はてな シニア・エディター。

●hatena: http://www.hatena.ne.jp/mohri
●twitter: http://twitter.com/mohri
●Facebook: http://www.facebook.com/imkt5l

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2013/03/01 12:00 https://markezine.jp/article/detail/17302

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