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ゲーミフィケーション実践編

日本のおもてなし文化をデジタルに表現!ゲーミフィケーションの未来像とは?【ゲーミフィケーション実践編第5回】

目の肥えたお客さんとの付き合い方

 顧客に合わせた対応があるということは、目の肥えた上位顧客に対してはそれ相応の対応をするということでもあります。ここでいう「上位顧客」とは、第一には目が肥えているという点にあることに留意ください。結果として確かにそういう顧客はよくお金を落としてくれる顧客であることが多いと思いますが、そこを求めているわけでは決してありません。上位顧客、あるいは優良顧客の定義が一般のビジネスにおけるものと違っている点は大変興味深いところです。

 目の肥えた鑑賞眼の高い顧客にもさすがと思ってもらえるように入念に準備をし、来訪後の対応にも抜かりのないようにする。顧客の側もそれをわかっていますから、今度はどんなおもてなしが待っているのかを楽しみにしてきます。おもてなしをどのくらい味わえるかで、顧客にとってサービスの価値が変わってきます。

 また顧客が自分の鑑賞した内容を、サービス提供者にフィードバックするようなコミュニケーションを取っていくことで、お互いの切磋琢磨が生まれます。サービス提供者側は、こういう顧客にもさすがと思ってもらえるようにおもてなしを磨くことになります。顧客側はより深い味わいが出来るよう自身の鑑賞眼を磨くということになります。

ゲーミフィケーションの未来像

 こうした要素が「おもてなし」の調査からわかったことでした。ただ、このおもてなしの3つのエッセンスは、いずれも物理的に大きな限界があります。人間が対応している以上、対応できる人数にはどうしても限界があります。また有望な若い顧客を上位顧客に育成するといっても時間も人数もやはり限られます。こうしたところにデジタルの力を使ったゲーミフィケーションを取り入れる意味があります。

 これまでの連載で紹介してきた、接客手法や顧客の熟練性・関係性を高める手法は、実はこのおもてなしのエッセンスをゲーミフィケーション的に実践する手法の紹介となっています。デジタル的に顧客対応を表現することがゲーミフィケーションの手法を使って可能になります。また目の肥えた顧客を育てていくこともゲーミフィケーション的な手法を使って実践することができます。

 これらの経験から、ゲーミフィケーションの未来像は、おもてなしをデジタル的に表現する手法であると私は考えています。何より、せっかく日本に生まれた私たちとしても、日本のおもてなしを世界に広げていくことができれば、とてもワクワクしますよね。「おもてなし」をソフトウェア的に表現することが出来れば、他国にもそれを広げることができます。ゲーミフィケーションの発想を取り入れることで、従来のおもてなしの持つ物理的な限界を超えることができます。切磋琢磨できる上位顧客はこれまではほんの一部の人でしかありませんでしたが、そういう人をもっと増やすことが出来れば誰にとってもいい未来になるのではないでしょうか。

   全5回の連載にお付き合いいただいた皆様本当にありがとうございます。ぜひ実践の場でまたお会いしましょう。

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この記事の著者

深田 浩嗣(フカダ コウジ)

15年にわたりモバイル領域でのデジタルマーケティングを提供しECを中心に200社以上のWebサイト立ち上げ・改善を実施。2014年、株式会社Sprocketを設立、Web接客手法でコンバージョンを最適化するツール「Sprocket(スプロケット)」を開発・販売する。短期的なCVRの向上にとどまらず、中長期的なLTVの向上を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2013/07/25 14:00 https://markezine.jp/article/detail/17431

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