SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ソーシャル時代のヴィジョナリー、ホットリンク内山幸樹氏インタビュー

「ゴアの海を見ていたら、頭の中に数式がバーッと流れてきたんです」【ホットリンク内山幸樹氏インタビュー・前編】


受託をやりたくなかった理由

内山 当時はツールバーをユーザーに無料配布して、ユーザーのウェブの閲覧行動をモニタリングしていました。その人がどんなホームページにブックマークしているのかがわかると、「このホームページがおすすめですよ」とレコメンドしたり、「この人と会話するといいですよ」とチャットする相手を紹介することもできる。今のFacebookのようなしくみを2000年にやっていました。

――Facebookが立ち上がったのは2004年ですから、それは早いですね。

内山 でも、やっぱり早すぎた。そして1年くらいで資本金も使い切ってしまいました。当時、日経新聞が最初に僕たちのサービスを導入してくれて、ベンチャーキャピタルから出資をもらおうとしていたのですが、そのタイミングで9.11の事件が起きたんです。そこで全部出資がストップして、つぶれそうになって。

―― その危機をどう乗り切ったのでしょうか。

内山 僕は絶対受託開発はしたくなかったんです。プログラムにお金を稼がせる会社にして、納品はしないんだと。でも、「受託でもいいから生きていきましょう、内山さん」と言われて、一気に受託開発に方針を変えた。

―― どうしてそこまで受託をしないことにこだわったのでしょうか。

内山 ITの本質というのは、24時間プログラムがお金を稼いでくれることと、プログラムやコンテンツをコピーするのに原価がかからないこと。どんなに大きな企業であっても受託開発は、つるはしの代わりにキーボードを持って、何人月の工事を受注するのと同じです。僕はそれはやりたくなかった。ITの本質にのっとったビジネスをやらないかぎり、この時代に生まれた意味がないと思っていたんです。ただそのときは「受託でもいい」と割り切って必死に生きてきました。

ブログやツイッターが検索エンジンのあり方を変えた

―― そうして会社を維持しながら、現在の柱となっているソーシャルメディア分析はどのように始めたのでしょうか。

内山 NTTデータがブログポータルのサービスを日本で最初に始めたときに、かかわらせてもらったのがきっかけです。ブログやツイッターが普及するうちに、「検索エンジンのあり方が変わってきた」と感じていました。それまでの検索エンジンは、キーワードを入れるとそれに適した情報がどこにあるのかを指し示す役割だった。しかし、ブログやツイッターが検索対象の場合、情報がどんどん小さくなっていく。キーワードを入れて、検索結果に出てきたのがひとつのツイートだとして、それだけ見ても意味わかんないじゃないですか。

―― 確かに。それって点ですよね。

内山 だから、そのキーワードを入れたときに、「世の中で言われていることを統合するとこういうことなんですよ」と要約してくれる検索エンジンが実は必要なんだろうなということで、2005年くらいにブログのマイニングエンジンの研究開発を始めて、2008年からは一切の受託開発をストップしました。ブログの分析サービスとレコメンデーションサービス、その新規事業が立ち上がるか、お金がなくなるか。背水の陣でいこうということで、全リソースをそこにフォーカスして、今に至るんです。

―― 受託は全部ストップしてそこに賭けるんだという判断をされたのですね。ご自身のリーダーシップについてはどう思っていますか?

内山 自分はリーダーシップは弱いと思ってます。「こんなことをするべきだ」とか「やろうぜ」とと言うのは得意なんですけど、みんなの気持ちを察するのがものすごく下手。うちには、COOの成瀬(功一郎氏)というのがいまして、彼はオプトが10人くらいのころから上場するまで引っ張ってきた男なんですが、彼が「内山さんの不得意なことは全部僕がやります。内山さんは得意なことだけやってください」と言ってくれたので、僕はイキイキと好きなことがやれている。彼がカバーしてくれたのでうまくいった部分は大きいと思いますね。

次のページ
21世紀は「脳業の時代」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
ソーシャル時代のヴィジョナリー、ホットリンク内山幸樹氏インタビュー連載記事一覧
この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2013/06/18 18:14 https://markezine.jp/article/detail/17868

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング