21世紀は「脳業の時代」
―― 最初にソーシャルの分析を始めたときは、どの分野からスタートして、現在のように選挙予想や金融分野にまで広げていったのでしょうか?
内山 最初はマーケティングですね。自社商品がお客様にどう言われているのか。それによって商品を改善しよう。あとは、キャンペーンの効果がどうだったのか。それをクチコミから定量化しようという。
ただソーシャルというのをあらためて考えると、18世紀後半の産業革命に匹敵するような知識革命が起きていると思っているんです。産業革命の時代に必要な社会インフラというのは、エネルギー網や物流網。産業革命のまえの農業の時代に必要だったのは灌漑設備などですが、21世紀後半は、脳みその脳と書いて「脳業の時代」と僕は呼んでいます。その時代の社会インフラは光回線とかではなくて、知識循環のインフラだと思っているんです。
―― それはまた、すごいヴィジョンですね。
内山 蛇口をひねると、自分のほしい情報がピョッと出てくる。それを「良かった」「悪かった」と評価し、ブックマークしたり、商品を買ったりという、いろんな行動履歴が下水道から社会全体に集まってくる。いま「ビッグデータ」ということがしきりに言われてますけれど、結局人間しか情報を評価したり生成することはできない。人間の頭のなかで判断された情報や行動となって表れたものを、いかに下水道を通じて社会全体で集めて、それを上水道できれいにして社会に返すのか。
そういった人と情報がリンクして循環する社会こそが“ほっとする社会”だというイメージがあって、「It is Hot To Link Information and People」というのがうちのコンセプトなんですよ。なのでホットリンクのホットは「hotto」で、「熱いリンク(hot link)」じゃないんです(笑)。
インタビュー後半は、内山氏がネット選挙とソーシャルについて語ります。後編はこちらから!
