言葉にドライブをかけ、読み手の想像力や気づきを補完しよう
キャッチフレーズを効かせたいなら、言葉にはドライブをかけること。ドライブとは、サッカーのドライブシュートやバレーのドライブサーブの<ドライブ>だ。
ドライブのかかったボールは、勢いが増し鋭い変化を起こして、シュートやサーブの破壊力を高める。同じようにドライブのかかった言葉は、表現に強さが生まれ、読み手の目を止めさせる、あるいは想像力の起動スイッチを押すといった強制力をもたらす。
ドライブのかけ方にはいくつかある。前々回で紹介したレトリックを活用した造語などの大ワザもあるが、今回は少し変えてみるだけでドライブがかかる、スパイス的な小ワザをピックアップした。
- できるだけ具体的に言う
- 説明を補足する
ポイントは、いかに読み手の想像力や気づきを補完できるか、である。それぞれ詳しく見ていこう。
ドライブをかける方法1:できるだけ具体的に言う
読み手の知性を侮ってはいけないが、意欲や想像力まで期待してはいけない。重要なコピーライティングの心得だ。意欲や想像力の起動は言葉で行わなくてはいけない。
読み手はたいていうわの空だし、キャッチフレーズや見出しに目を止めても、ピンとこなければ素通りしてしまう。たとえ情報を探すために積極的に読もうとする時でも、ずらり並んだ検索結果をサッと眺めて、紹介文からイメージが湧かなければスルーしてしまう。
筆者はサッカーのゲームレビューのブログをよく読むのだが、よくある<ユナイテッドVSアーセナル戦雑感>のような、記事のテーマが分からないタイトルのものは後回しにする。優先するのは<ユナイテッド、肉を切らせず骨を断つ戦術で勝利!>のように、イメージしやすく期待感をもたせるタイトルだ。
具体的に言う方法:言葉で絵を描くように伝える
特に広告コピーは、イメージをくっきりさせた方が読まれやすい。たとえば、次の表現で比べてみよう。
A.切れ味が抜群
B.完熟トマトも簡単に切れる
C.完熟トマトもスパッ
例は包丁のコピーで、切れ味を訴求する表現である。比べるとお分かりだと思うが、Aが最も抽象的で、Cが最も具体的。Bはその中間といった感じだ。
一番切れ味が伝わるのはCだろう。価値のイメージがくっきり表現されている。もし、包丁をあまり使ったことがない人向けであるなら、文字数が許せば<切れにくい完熟トマトもスパッ!>とさらに説明を補完する必要がある。
表現のコツを絵画にたとえるなら、印象派より写実主義。ソフトフォーカスではなく、ピントを合わせてくっきり映し出そう。言葉で絵を描いてあげよう。具体的に言うことで表現は強くなる。
<坂道でも快適走行>より<坂道でもスイスイ上がれる>、<食感、快感。>と韻をふんだシャレたつもりのような表現より<お口の中でふわりと溶ける>の方がイメージしやすい。感情への働きかけに勢いがつくから、読み手の気持ちにもドライブがかかってくる。
キャッチフレーズや見出しは、どうしても短くせねばと<便利>や<快適>、<上質>や<こだわり>などの常套句を使ってまとめてしまいがち。特に、形容詞や形容動詞の類は顕著だ。筆者も無意識のうちにやってしまって慌てることもある。
だが、先に述べたように読み手は期待通りに想像したり、イメージしたりしてはくれない。考えるのは面倒だ、できれば分かりやすく!を求めている。だから、メッセージは具体的な方が有効なのだ。
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