アイレップ SEM総合研究所は、2013年のSEM業界における最重要な10大ニュースを選定。日本のSEOの第一人者であるアイレップ取締役SEM総合研究所 所長 渡辺隆広氏を中心に、特に影響度の高いものをセレクトしている。
Google 「エンハンストキャンペーン」、Yahoo! JAPAN 「ユニファイドキャンペーン」登場
2000年初めにGoogle アドワーズ広告プラットフォームが登場して以来、最大の仕様変更といっても差し支えないのが、今夏登場した「エンハンストキャンペーン」。同時に、Yahoo! JAPANからもユニファイドキャンペーンがリリースされた。両社ともに、マルチスクリーン、マルチデバイス、さまざまな場所での検索行動など、昨今の世界の実態に即して、より優れた広告運用・成果を生み出せるようプラットフォームを刷新している。
スマートフォンを意識した広告関連新機能やサービスが続々登場
Google ・Yahoo! JAPAN 両社から、スマートフォンやタブレットを意識したプロダクトやサービスが数多くリリースされた。Googleの「推定合計コンバージョン」、Yahoo! JAPANの「スマホサイトビルダー」「電話番号オプション」「アプリダウンロード広告」「Yahoo!アプリエンジン」などのプロダクトおよびサービス、そして両社ともにマルチデバイス時代を反映したさまざまな分析や調査結果を掲載したホワイトペーパーが公開された。
Google 、すべてのユーザーに検索のSSL暗号化を適用
検索利用者のプライバシー保護を目的として2011年冬以降、一部のユーザーを対象として検索のSSL暗号化を実施してきたGoogleが、今秋、全ユーザーの検索を暗号化。Webサイト流入時に使用された検索キーワード情報は、デジタルマーケティングにおいて非常に価値のあるデジタル資産の1つだが、それが取得できなくなることによりSEM関係者にとって大きな衝撃となるニュースだった。なお、広告クリック時のキーワードは引き続き広告主に提供される。
Yahoo!検索、NAVERまとめ枠を検索結果内に新設
まとめサイトとして人気の「NAVERまとめ」がYahoo! JAPANと提携。Yahoo!検索結果内にも新枠として設けられることになった。莫大なトラフィックを誇るまとめサイトが国内最大の検索シェアを持つYahoo!検索結果にも表示されるとあって、SEM関係者も注目した提携の1つ。
口語調の検索クエリにも対応 – Google 、ハミングバード導入
「実はSEO的に影響はほとんどないのに世界中で注目を集めた」という意味でも話題となったのが、Googleの新しい検索技術・ハミングバードの導入。今後増加すると見込まれる音声検索、とりわけ自然文・会話調の検索クエリでも適切な検索結果を提示することを目的とした新技術の導入だった。適切なSEOを実施している企業にとって特別な対策が求められるものではないが、Googleが大々的に発表したこともあり、勘違いをしてしまう業界関係者が多かった話題となった。
Google 、”グレーゾーン”だった外部リンク施策に相次ぎ「違反」通知
実態としてGoogleが明確に禁止する有料リンクでありながら、グレーゾーン的な位置づけで運営されてきたサービスが、Googleからガイドライン違反を指摘される事例が相次いだ。特に、有料審査型のディレクトリ登録サービス各社は事業変更も含めて対応を迫られた。UGC(User Generated Content)サイトも利用ユーザーのスパムをできるだけ排除するよう対応が求められた。Googleはウェブスパムに対し厳しい態度で臨んでおり、来年以降もこの傾向は続くと予測される。
Google 、技術的な不備を抱えるスマートフォン対応サイトの順位下降を発表
マルチデバイス・マルチスクリーン時代において、検索利用者に優れたユーザー体験を提供するため、Google は技術的な不備を抱えるスマートフォン対応サイトの検索順位を下降させることを発表。スマートフォンから検索が行われたと判定した時に「スマートフォンのユーザー体験」というシグナルを考慮し、検索順位が調整されるようになる。特に日本国内のスマートフォン対応サイトは、従来のガラパゴス携帯時代の常識を持ち込んだために技術的に問題がある設定をしているWebサイトが多いが、検索トラフィックを見込みたい企業にとっては今後十分に検討してWebサイトを設計する必要がある。
米Microsoft、Windows 8.1 発売にあわせて Bingを刷新
マイクロソフトは今秋、Bingのロゴを刷新するとともに、同社製品の情報プラットフォームとしての位置づけを明確にした。10月に発売された Windows 8.1にはスマート検索として密接な連携が行われるようになった。日本の検索市場において苦戦しているBingだが、Windowsプラットフォームを通じてどのように今後巻き返しを図るのか注目される。
Firefoxも3rdパーティーCookieが禁止へ – Cookieを使わない新技術に注目
2013年はCookieを使わない新技術に注目が集まった。Firefoxも3rdパーティーCookieを禁止したことで、Safari(iPhone、iPad含む)、IE10/IE11のDo Not Track(※)と合わせるとCookieがマーケティング上で活用できる範囲の制限がより拡大したことになる。
こうした中、FingerPrintingと呼ばれる技術に代表される、Cookie以外を活用したターゲティング技術に対する期待も急速に高まり、今後のデジタルマーケティング業界の行く末が影響される事象として、多くの業界関係者が対応を考えさせられる契機となった。
※ Do Not Track:訪問したWebサイトでの閲覧情報がサードパーティのコンテンツプロバイダーに送信されないようブロックする、ブラウザに搭載された設定・技術。
「検索2強」にチャレンジしたプレーヤーが相次ぎ事業撤退・縮小
韓国最大の検索エンジン・NAVERが今年12月を持って終了を発表、中国最大の検索エンジン・百度(Baidu.com)も検索事業を縮小した。一時的に復活したライコスも、日本語サイトを閉鎖。来年以降、検索2強にチャレンジする企業が現れるのか。
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