戦略的にデータを取得する目的を考える
「デジタルシフトする消費者に追いつけ!」と冠された今回のMarkeZine Day。この2月に書籍『ザ・アドテクノロジー データマーケティングの基礎からアトリビューションの概念まで』(翔泳社)を上梓したmediba 兼 スケールアウトの菅原健一氏は、日進月歩で変わりゆくデジタル環境に触れ、「まずは現在のデータマーケティングの定義から考えてみたい」と切り出した。
以前は、メールマーケティングやLPO、サーチやディスプレイ広告などから得られたユーザーのデータをそれぞれ専用のデータベースに蓄積し、施策ごとの最適化が試みられてきた。それがDMPの登場によって、企業が持つ複数のデータベースを統合し、いわゆる“横串”を通して最適なアプローチを導き出すことが可能になった。
「あらゆるデータを統合できるからこそ、これからは『何のデータを何のために取得するのか』を戦略的に考えていく必要があります。その戦略を元にチャネル横断的に顧客へアプローチするのが、今日のデータマーケティングです」(菅原氏)
一方、現状をオーディエンスの視点で捉えると、人によってどのチャネルで、どのタイミングで接触するのかは異なっている。そのため、小集団に対してチャネルやクリエイティブの最適解を提供することが求められる。「これがまさに、データサイエンティストやマーケターの仕事になる」と菅原氏。
フラグメンテーションの課題
購入なのか、LTVの引き上げなのか。自社や自分が扱うブランドのコンバージョンが何かを明確に見据えることも必要だ。一方、データマーケティングには課題もある。そのひとつが「Fragmentation(フラグメンテーション)」だ。視聴メディアの分散化、表示デバイスの分散化、ユーザーの好みの多様化など、今あらゆるものが分断している。
「その場合のデータマーケティングがどうなるのか、また対するマスマーケティングはどうなのか。少し前とはまた考え方を転換させないといけないと思いますが、以前との違いをどう見ていますか?」という菅原氏の問いかけに、ニューバランスジャパンの鈴木健氏は「確かに以前と比べて、マーケターもデータに直接触れて戦略を立てていく必要性に迫られています」と応じる。
広告会社を経て事業者サイドへと転向した鈴木氏は、自身がニューバランス製品を扱う中で感じた3つの変化を、次のようなキーワードで提示した。