「オムニチャネル」で消費者と企業をいかに結びつけるか
押久保:こんにちは。翔泳社が運営するマーケター向け専門メディア「MarkeZine」の編集長をしております、押久保と申します。このセッションは「オムニチャネルの現状とこれから」というテーマで、オムニチャネルをいち早く推進するパルコ、そしてその実践を支援するNTTドコモとLINEからパネリストを迎えて、広告主側、サービス提供側、それぞれの立場からお話をうかがいます。
押久保:まず、「オムニチャネル」の意味をおさらいしておきましょう。MarkeZineで連載中の「O2Oからオムニチャネルへ」では、平たく「オムニ(すべての)チャネルを顧客との接触・販売機会にすること」と定義しています。昨年あたりから「O2O」というキーワードが聞かれるようになりましたが、主にオンライン上の販促をリアル店舗への集客につなげる概念「O2O」に対し、「オムニチャネル」は購買やリピートまでを含む、広義のものと捉えられているようです。
押久保:グーグルのトレンド検索では「O2O」の方が多く検索されていますが、年明けにセブンイレブンさんが「オムニチャネル強化」の方針を発表され、「オムニチャネル」にも注目が集まっています。ではパネラーのお三方、自己紹介をお願いします。
島袋:パルコの島袋孝一と申します。全国に19店舗ある商業施設「PARCO」で、ウェブやデジタルマーケティングを推進しています。私が所属する「WEBコミュニケーション部」は1年前に設立された部門で、NTTドコモやLINEの協力のもと、「O2O」や「オムニチャネル」の様々な施策を実践しています。
林:LINE 広告事業部の林祐太郎と申します。LINE公式アカウントやスポンサードスタンプなどの広告事業を担当しております。LINEのサービスをビジネスにつなげる部署で、オムニチャネルでは消費者とクライアントをどう結びつけるか、という観点でお話しをさせていただきます。
石黒:NTTドコモの石黒卓弥と申します。所属するスマートライフ推進部は昨年7月に新設された組織で、ドコモにおける新しい領域のビジネスを行うことをミッションとしています。私のチームでは、実店舗への送客を主としたO2O領域のビジネスを担当しております。
オムニチャネル=店舗とお客さまが24時間接点を持っていること
押久保:ありがとうございます。「オムニチャネル」というテーマは、店舗やお客さま、ITサービスや代理店など、関わるプレイヤーが幅広いことが特徴です。また企業の取組状況も千差万別なので、なるべく実体験に基づいたお話ができたらと思います。では、まず島袋さんの方から、現在の取組状況をご紹介いただけますか。
島袋:はい。2013年3月に現在の部署ができて、オムニチャネルを意識した施策を考え始めました。パルコは百貨店ではなくショッピングセンターなので、商品在庫を持っていません。ですからパルコでは、オムニチャネルを「店舗とお客さまが24時間接点を持っていること」と定義し、スマートフォンなどとの接点を強化しています。
押久保:なるほど。スマホファーストへの取組も、含まれているのですね。
島袋:はい。すでに2012年の段階で、パルコのホームページにスマートフォンからアクセスするお客さまは6~7割にも及んでいました。が、十分に活かしきれていなかったこともあり、LINEの公式アカウントを開設しました。パルコというワードをいかに人の目に触れさせるか、という観点で、多くのユーザーを抱えるLINEと組ませていただきました。現在は19店すべてで「LINE@」も利用しており、お友だち数は全店合計で38万人を超えています。(パルコのLINE活用事例記事はこちら)
押久保:LINEから見た、パルコの印象も教えてください。
林:LINE公式アカウントとLINE@を併用した点が新しいですね。公式アカウントは、月額数百万円という広告費用が必要ですが、スタンプも使いながら、数百万人に対して情報を一斉配信できます。一方LINE@は町の美容室や居酒屋などのお店でもお使い頂ける個店向けサービスで、エリアターゲティングができます。パルコではこれを店舗ごとに使われており、両者を合わせ技で使われたお客さまはパルコが初めてです。