データ活用が上手くいかない根本的な原因
水嶋:みなさん、こんにちは。ドーモ株式会社の水嶋ディノと申します。ドーモはアメリカで2010年に設立された会社で、創業者はOmnitureの共同創業者 兼 元CEOであるJosh James氏です。アマゾンの創業者Jeff Bezos氏や楽天の三木谷浩史氏など、業界トッププレイヤーから約250億円の投資を得ています。
私どもは、データ活用が上手くいかない理由を、必要なデータが複数のファイルやアプリケーションにバラバラに管理されているから、と考えています。弊社では、エクセルやクラウド型アプリなど、様々なデータを簡単に取込み、どこでも扱える仕組みを提供しています。では、パネリストのお二人にも、自己紹介をお願いしましょう。
須藤:KAIZEN PlatformのCEO、須藤憲司と申します。ウェブサイトを改善するプラットフォーム「PlanBCD」を提供しています。ABテストを通じて、2種類のデザインのうちどちらがコンバージョン率が高いか、などを検証でき、クリックひとつで効果の高いデザインに切り替えることができます。約500社の企業様に導入いただいています。
網野:ギックスの代表取締役CEO、網野知博と申します。2012年12月にスタートしたばかりの若い会社です。アクセンチュアを経てIBMでビッグデータに携わりましたが、経営面でのデータ活用を促進すべくギックスを立ち上げました。
ビックデータ、アナリティクス、コンサルティングを組み合わせて価値をご提供できることが強みです。例えばクレジットカードの「ビューカード」様では、顧客数の増加や利用促進にコミットし、データの分析や成長戦略の構築を行っています。
7割のマーケターはデータ量に圧倒されている
水嶋:ここからは、弊社アメリカ本社が301人のマーケターを対象に行った調査をもとに、議論を進めます。調査のポイントは、「データの取り扱い方」「データへのアクセス」「ROI費用対効果」の3点です。
まずは「データの取り扱い方」から。「分析のために利用可能なマーケティングデータ量は問題なく処理できるか」という問いに対し、「そう思う」と答えたのはわずか3割。つまり、残り7割はデータ量に圧倒されていることが分かりました。アメリカでの調査ですが、恐らく日本でも似たような傾向にあるでしょう。ビッグデータの解析技術は日々進んでいるにも関わらず、なぜ私たちはデータに圧倒されているのでしょうか。
須藤:データがバラバラな場所にある点に問題があると思います。例えば広告費用についても、Googleにいくら払っているのかは把握していても、あるキャンペーンのROIを分析しようとすると、様々な部署やファイルにアクセスせねばなりません。
水嶋:データを分析する前に大きな苦労がある、ということですね。網野さんはどう思われますか。
網野:問題は2つあると思います。ひとつは、テクノロジーは進化しているものの、使う側が追いついていないこと。もうひとつは、データの分析スキルはトレーニングで習得できるのに対し、データを使う「センス」は後天的には身に着けづらいということです。
水嶋:マーケターの資質の問題ですね。
網野:分析も活用もひとりで行うのは困難です。従って弊社では、分析や仮説をつくる人を「データサイエンティスト」、アウトプットされたデータを解釈する人を「データアーティスト」と呼び、分業しています。さらに分析の基盤を作る「テクノロジスト」、戦略の方向を決める「ストラテジスト」を含め、4人のチームでサービスを展開しています。
須藤:私はデータが好きなので、ずっと見ていても飽きないのですが、もちろん見ているだけで会社は変わりません。データ分析の「目的」を設定し、見なくていいものは見ない、という選択も必要です。その意思決定が、網野さんがおっしゃる「センス」なのだと思います。
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