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UIウォッチング ~マルチデバイス時代のインターフェースを考察する~

一覧表示のインターフェースがUXを向上させる

なぜ一覧表示がUXに直結しやすいのか

 以上の例は、すべて一覧表示の見せ方に関するインターフェースですが、それぞれの開発ベンダーによる創意工夫や改善、注力、さり気ない配慮が多々見うけられます。では、なぜ一覧表示のインターフェースが、ここまで大きな工夫の対象となるのでしょうか?

 そもそも一覧表示では、並べたり俯瞰したりするため、ある程度の画面の広さが必要となります。従来のPCの画面では、それが問題になることはありませんでした。しかし、スマートフォンやタブレットは、PCに比べて表示できる画面がずっと狭くなります。その代わりというべきか、スマートフォンやタブレットには、従来のPCにない、タップ、スワイプ、スライドなどのタッチパネルによる操作があります。このタッチ操作が、画面エリアの狭さを払拭するための手段として用いられるようになったと考えられます。

 というのも、今となっては「スマートフォン=タッチパネル」というイメージですが、iPhone以前のスマートフォンは、テンキーが主体の端末ばかりでした。例えば、かつてのNokiaの端末などがそうです。

Nokia N73
Nokia N73

 スマートフォンなので、世の開発者が作ったアプリケーションをインストールしたり、自分好みにカスタマイズしたりする自由度はありました。しかし、テンキーや方向キーしか持っていないことから、インターフェースの自由度は決して高くはなく、基本的にページを掘り下げてゆくドリルダウン型のインターフェースが中心でした。

 それに対して、タッチパネルによる操作は、スマートフォンの狭い画面のなかでインターフェースの自由度を上げる手段としては、大いに有効でした。

 このことが一覧表示のインターフェースに思わぬことをもたらします。一覧表示にとっては、画面の狭さを克服するために用いられたタッチ操作には、使い勝手を体感的に理解しやすいという特長がありました。スクロールやスワイプのように、操作した分量がそのままリニアに画面に反映される操作感は、ユーザがどう感じるのか、どういう体験をするのかということに直結します。これは別の言い方をすれば、ユーザ・エクスペリエンス(UX)に他なりません。

 その結果、とりわけ一覧表示のインターフェースにおいて、UXの向上が図ることにつながったと考えられます。これが、一覧表示のインターフェースをUXに直結させた大きな要因です。

 ただし、特別な(あるいはよく工夫された)インターフェースがなくても、一覧表示の目的を達成することは可能です。眺めて、比較して、選ぶだけです。だから、デザインの工夫は絶対不可欠という類のものではありません。しかし、どの開発者にとっても、技術的にできることが当たり前になってくると、何か他のことで差別化を図る必要性が出てきます。先に紹介したカレンダーアプリ「Sunrise」などは、インターフェースによって差別化を図った好例です。

 一覧表示のインターフェース・デザインは、サービスの良し悪しに大きく影響を与える領域です。詳細ページの主役はあくまで「コンテンツ」ですが、一覧表示における主役は「エクスペリエンス(体験)」だと考えてもよいでしょう。各社がこの領域に鎬を削っている理由のひとつが、そこにあると思われます。

引用サイト:
「Stylect」www.stylectapp.com
「IMDb」www.imdb.com
「Google+」plus.google.com
「Sunrise Calendar」calendar.sunrise.am

著者紹介

原田秀司(はらだひでし):Webサイトやアプリの設計を行うインターフェースデザイナー、Webディレクター。また、TV画面で表示するインターフェースや、ゲームコントローラなどを使った設計なども行っている。自著『UIデザインの教科書』(翔泳社)

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この記事の著者

原田 秀司(ハラダ ヒデシ)

Webサイトやアプリの設計を行うインターフェースデザイナー、Webディレクター。また、TV画面で表示するインターフェースや、ゲームコントローラなどを使った設計なども行っている。自著『UIデザインの教科書』(翔泳社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/07/23 10:00 https://markezine.jp/article/detail/20390

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