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UIウォッチング ~マルチデバイス時代のインターフェースを考察する~

アプリで外部サイトを開くとき、なぜiOSとAndroidとでは動きが違うのか

UIウォッチングの二回目はiOSとAndroidの違いについて考察します。iOSとAndroidはお互いスマートフォンとして共通しているところもあれば、異なるところもあります。例えば、アプリ内でリンクをタップして外部ページを表示させるとき、iOSとAndroidでは動きが異なります。何故、異なっているのでしょうか。

iOSとAndroidの動き方の違い

 最近では、電車の移動時のようなすきま時間に、facebookやtwitterなどのスマートフォンのアプリから外部サイトのニュースや話題の記事を見ることが多くなったのはないでしょうか。このように他の記事を紹介しているアプリから、元の記事のリンクを開くとき、iOSとAndroidとでは動き方に違いがあります。

 iOSではリンクをタップした際、別のアプリをたち上げることなく、アプリ内の簡易的なブラウザによってリンク先の記事が表示されます。一方、Androidでは、どのブラウザで表示するかを選択したのち、そのブラウザ上で記事が表示されます。

[iOS]アプリ内のリンクをタップ → アプリ内ブラウザで表示 
[Android]アプリ内のリンクをタップ → 外部ブラウザの一覧 → 選択した外部ブラウザで表示

 記事のリンクをタップすると、iOSではアプリ内ブラウザ、Androidでは外部ブラウザで表示するという、この傾向は、ある特定のアプリに限った話ではなく、ほぼ全てのアプリに共通して当てはまります。

 実装上の観点から言えば、iOSでも外部ブラウザを立ち上げることもできますし、Androidはアプリ内ブラウザで表示することもできます。つまり、技術的にできる/できないという理由からこうなっているわけではないのです。では、この違いはいったいどこから来ているのでしょうか?

 この理由は、逆の動きを考えていくとわかります。まず、表示した記事から元のアプリに戻る動きを見てみます。iOSでは、アプリ内ブラウザ上で「閉じる」または「戻る」をタップしてアプリに戻ります。Androidでは、外部ブラウザ上で「戻る」ボタンを押してアプリに戻ります。

  • [iOS]アプリ内ブラウザ→「閉じる/戻る」→アプリの記事
  • [Android]外部ブラウザ→「戻る」ボタン→アプリの記事

 では、仮にiOSでもAndroidと同じように外部ブラウザで表示したとすると、元の記事に戻るときの操作はどうなるでしょうか。操作は二通り考えられます。一つは、外部ブラウザから一旦「ホーム」ボタンでホーム画面に戻り、元のアプリを選択するという操作。もう一つは、外部ブラウザから「ホーム」ボタンを二回押し、起動アプリの一覧を表示してから、元のアプリの選択するという操作。

[iOS]「ホーム」ボタンを押し、ホームを経由して戻る場合
[iOS]「ホーム」ボタンを押し、ホームを経由して戻る場合
[iOS]「ホーム」ボタンを二回押し、起動中のアプリ一覧を経由して戻る場合
[iOS]「ホーム」ボタンを2回押し、起動中のアプリ一覧を経由して戻る場合

 つまり、iOSではAndroidのようなハードウェア上の「戻る」ボタンがないので、「ホーム」あるいは「プロセス一覧」を経由しないと、元のアプリに戻ることができないのです。ワンアクションで元のアプリに戻ることができないのは、操作感としてたいへん不便です。

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この記事の著者

原田 秀司(ハラダ ヒデシ)

Webサイトやアプリの設計を行うインターフェースデザイナー、Webディレクター。また、TV画面で表示するインターフェースや、ゲームコントローラなどを使った設計なども行っている。自著『UIデザインの教科書』(翔泳社)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2014/06/23 10:00 https://markezine.jp/article/detail/20256

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