SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

“小売店舗”視点で考えるO2O・オムニチャネル最新動向

「販売員が個人ECを運営」逆転の発想で実店舗をEC化するPARCO、これからのオムニチャネルは「販売&接客力」がカギに


実店舗では「販売・ 接客力のレバレッジ」がトレンドに

 一方、実店舗側も攻勢を強めるEC陣に対抗するべく、販売・接客力を売りとした試みを続けています。

 「エリアに入ったらオススメを提供」「来店されたお客様のカルテを表示して接客」 などなど、この数年で数多の未来型接客コンセプトが提起されています。しかし残念ながら、私が知る限り、ほとんどのコンセプトは技術や商流、顧客ニーズとの不整合などの課題を抱えて足踏み状態にあります。

 そんな中、いち早く成功の糸口を掴みつつあるのがアパレル大手Urban Research(UR)です。UR社では、販売員のコーディネート写真をアップロードし、独自アプリ、ブログ、FacebookやWEAR等のチャネルに掲載する仕組みを2013年5月から提供。利用者は性別やキーワード検索などで自分の好みにあったコーディネートを探して、そのままECサイトや店舗で購入できる仕組みです。

 この説明だけだと一見、他のECサイトと変わらないように感じられてしまいますが、UR社が画期的なのは、

 ①コンテンツ(コーディネート)を多チャネルに配信できる
 ②コンテンツ起因の売上をトラッキングできる

という仕組みを提供している点です。この2つによって、販売員は自身の販売力の一部であるコーディネートを効率的に拡散でき、また、それによる評価を受けることができるようになります。

 過去、販売員の販売・接客力は「勤務時間 ÷ 顧客あたりの接客時間 × 顧客単価」を最大値としており、どんなに優秀な販売員であっても売上に限界が存在していました。ところがUR社が提供するネットを活かした仕組みではその壁が存在せず、販売・接客力(コンテンツ力)があればあるほど売上を得ることができます。

 UR社ではこの仕組を提供した結果、月にアプリ経由で200 万~300 万円の売り上げに貢献する店員が生まれる(※1)など、過去実店舗では不可能だった販売・接客力を実現することに成功しています。

 私はこれを「販売・接客力のレバレッジ」と呼び、オムニチャネル領域における注目トレンドのひとつと位置づけています。オムニチャネル領域において、常に先駆的な役割を担っているPARCOでも同様の動きが始まりつつあります。

※1 『日経デジタルマーケティング』2014年2月号より。

次のページ
パルコは販売員に委ねることで販売・接客力の最大化に挑戦

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
“小売店舗”視点で考えるO2O・オムニチャネル最新動向連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

伊藤 圭史(イトウ ケイジ)

伊藤圭史
Leonis & Co.共同代表

上智大学卒業後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)に入社。デジタルマーケティング施策推進、CRMシステム導入など、顧客政策を中心とした戦略・システムプロジェクトに従事。2011年12月にオムニチャネルに特化してシステムとコンサルティングサービスを提供するLeonis & Co.を設立。オムニチャネルの専門家として通信会社や百貨店、電鉄など様々な企業を支援。現在はトランスコスモスグループのオムニチャネル推進支援サービスの中核企業としてオムニチャネルマーケティングシス...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2014/08/04 21:00 https://markezine.jp/article/detail/20495

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング