広告は「邪魔者」か?スポーツファンを「仲間」に変える共感のアプローチ
MarkeZine編集部(以下、MZ):昨今、広告が敬遠されがちな中で、DAZNはスポーツにおける広告の可能性をどのように捉えていますか?
大島(DAZN):大前提として、テレビや動画配信サービスにおける広告は「邪魔者」と捉えられがちです。サブスクリプションプラットフォームでは、広告が表示されないプランもよくありますよね。ユーザーの「広告が邪魔だ」という感情を受け止め、逆なでしないような配慮が必要だと思います。
しかし、スポーツというコンテンツは特殊で、スポンサー企業とファンの距離が近く、広告の受容性が非常に高いのが特徴です。たとえば、スタジアムの看板や選手のユニフォームにスポンサーロゴがあったりしても、特に「邪魔」と感じる人は少ないでしょう。私自身もサッカーファンで、よくスタジアムへ足を運びますが、ピッチ周りの広告が少なかったり、ユニフォームにスポンサーロゴがないとサポーター心理としては心配になってしまうこともあります。それほどスポーツファンはチームを応援してくれるスポンサー企業のことを「仲間」だと捉えているのです。
だからこそ、アプローチ次第でスポーツにおける広告は、「邪魔者」ではなく、一つの「楽しみ」や「コンテンツ」として愛されるのではないかと考えています。
MZ:では、どのようなアプローチが望ましいのでしょうか。
大島(DAZN):ファンと企業が真の意味で「仲間」になるためには、ファンの感情や想いに寄り添ったクリエイティブでコミュニケーションを行うことが非常に重要です。そこでDAZNでは、単に広告枠を提供するだけでなく、我々が蓄積してきたファンダムのインサイトを活用し、ファンの心に響くクリエイティブの開発からサポートするソリューションを提供しています。
なぜ花王はDAZNを選んだのか?「低関与商品」を話題化させる打開策
MZ:今回、「サクセス薬用シェービングジェル」のプロモーションにおいて、どのような課題やターゲット設定があったのでしょうか。
星(花王):シェービング剤は、どちらかと言うと日常的に購入される「低関与商品」であり、毎日のように肌に触れて身だしなみを整えるものだからこそ、「失敗したくない」という心理が強く働くものです。そもそも話題化が難しく、ブランドスイッチのハードルが高いカテゴリーの中で、いかに生活者の選択肢に入り込むかが課題でした。
この現状を打破するためにターゲットとして定めたのが、コロナ禍からの出社回帰の流れでシェービングの必要性を感じている「若手社会人層」です。全年代向けの商品ではありますが、身だしなみ意識の変化を捉え、まずはここを起点に攻略しようと考えました。
MZ:「サクセス薬用シェービングジェル」のプロモーションにおいて、今回DAZNをパートナーとして選んだ理由や、期待したポイントを教えてください。
星(花王):実は今回の取り組みの前に、他社で制作したクリエイティブを、DAZNを含む複数媒体で配信したことがありました。ターゲットである若年層での話題化を狙い、実際の実況者を起用した「サッカー実況風クリエイティブ」を制作・配信したのですが、DAZNで配信したタイミングは他の媒体と比べて明らかにXでの言及が多かったのです。低関与商品ゆえに、「まず話題化すること」を重視していた当社にとって、喜ばしい実績となりました。
これだけ相性がいいのであれば、ファンのインサイトをよく理解しているDAZNにクリエイティブも依頼したほうが効果を最大化できるのではないかと感じ、第2弾である今回は配信だけでなく、制作段階からお願いするに至りました。

