いったいどんな人に向けたアプリなのか?
前回の記事では、「ひと言で他人に伝えられるコンセプト」「バズを誘引するユニークな機能」「競合との差別化になるデザイン」について説明しました。今回は、App Storeに掲載される情報の最適化、いわゆるアプリストア最適化(ASO/App Store Optimization)についてお話します。
iPhoneアプリの場合、ユーザーがアプリをダウンロードするのは、Appleさんが提供するiTunesのApp Storeです。ここがアプリベンダーとユーザーとの、もっとも重要な接点となります。ユーザーはどのような行動によって、App Storeに訪れ、ダウンロードし、利用するのでしょうか?
読者の皆様でしたら、データを元につくられた架空のユーザー像“ペルソナ”に基づいたマーケティング手法「ペルソナマーケティング」をご存知でしょう。
「My Heart Camera」と「Pico Sweet」の場合、弊社のエンジニア、川野辺くんに開発を任せているわけですが、彼は、女性向けのアプリをつくるにあたって、愛する奥さまの意見を参考にしていることを前回もお話しました。
そこで、私たちは、データからではなく、川野辺くんの奥さまをベースに次のような “ペルソナ”を設定してみました。
- 女子大学生/未婚/20歳/千葉県で両親と同居(近所に姉・兄)/自由に使えるお金は月6万円程度。
- 都内にある大学に通う3年生。親と同居している。兄姉はすでに結婚し、家を出ているが近所で暮らしている。
- 8時に起床、10:40くらいから大学の講義を週5日。週3で夕方からコンビニでアルバイト。
- ファッションやかわいいものが好きで、休日は渋谷や新宿に買い物。晴天時はガーデニングをするのが趣味。
- 旅行やアウトドアなレジャーも好きで友達と海・山・温泉などによく行く。スマホでお気に入りのモデルのアメブロを見てテンションを高めるのが主な暇つぶし。
- 友達同士でよく写真を撮る。プリクラも大好き。
- LINEで親密な友人とグループで写真を送り合ったり、FacebookとTwitterでは希薄な友達向けに写真を投稿。Instagramも好きだがほぼモデルを見る専用。写真が溜まりすぎてiPhoneのストレージがいっぱい。
- 個人用のPCは勉強のときに使うだけで、個人的なネットサーフィンはほとんどスマホ中心。
年齢や家族構成は違っていますが、リアルな存在により具体的なユーザー像が見えてきました。
話が前後してしまいましたが、前回お伝えしたアプリのコンセプトやビジュアルデザインについても、このユーザー像を基準に考え、本人(奥さま)の反応や本音をうかがいながら、作っているのです。
ストアに掲示するアプリ名は、人間と機械のハイブリッド対策を
さて、ユーザー像が明確になったところで、そのユーザーの方が気に入って、ダウンロードしてもらえるよう、App Store最適化を施していきます。まずは、ストアにたどり着く前の段階、アプリ名の話をしましょう。
ストアに掲載するアプリ名は、固有の名前を検索される場合のアプリ名と、ユーザーが検索しそうなキーワードをちりばめた説明文で構成するとよい効果が得られるといわれています。
「My Heart Camera」と「Pico Sweet」の場合は、それぞれ次のようなアプリ名で登録しました。
My Heart Camera ~ ハートカメラの大人かわいいハートの無料スタンプでもっとオシャレにデコ&写真加工&コラージュ ~
かわいい写真加工! Pico Sweet (ピコ・スイート)のワンタッチ・デコでお洒落に 画像コラージュ編集
ごらんのとおりちょっと読みにくいかもしれませんが、全体的には「写真加工」「画像」「かわいい」「お洒落」「デコ」「無料」など、検索されそうなキーワードがちりばめられているのがわかります。
実際、この分野では人気のキーワードです。対象となるユーザーは、「かわいいカメラアプリないかな」みたいな感じで探していることを想定しています。
また、アプリ名の冒頭の部分をクローズアップすると、「My Heart Camera ~ ハートカメラ」「かわいい写真加工! Pico Sweet ピコ・」のようになっています。
検索結果や、App Storeのランキングに表示されたときに、アプリ名の全文は省略されてしまうため、省略されたとしても、表示される冒頭の部分でアプリの固有名称をハッキリ伝えられるよう配慮しているのです。
これはたとえば、ユーザーが知人から「ハートのやつだよ」とか「Picoなんとかだよ」など、アプリ名を聞いて検索するときや、逆にユーザーが知人に教えたりするときの伝えやすさを配慮しているからです。