コンテンツライティングの仕事が急増
現在、企業のオウンドメディアをはじめとして、コンテンツマーケティングに注目が集まっていますが、そのコンテンツ制作にはどのようなニーズがあり、どんな人たちが担っているのでしょうか?
MarkeZineの連載を書籍化した『ネットで「効く」コピー』刊行を記念してお送りする特別企画「ネットの表現を探る」。第一弾では「クラウドソーシング」最大手ランサーズで、ライティングや動画制作を中心に、クリエイティブ系のお仕事の受発注の現場についてお話をうかがいました。
「ランサーズ」は、フリーランサー個人と仕事を発注したい企業や団体のニーズをマッチングさせるサービス。クラウドソーシング市場は大変伸びているところですが、ランサーズの現在の案件数、会員数はどのくらいになるのでしょうか。
潮田 「ランサー」と呼ばれる「ランサーズ」の登録ユーザー数は現在36万人。仕事のカテゴリは全部で141カテゴリあります。ランサーズ上での依頼総額がちょうど300億円を突破したばかりです。
ランサーさんの性別や年代は?
潮田 女性が4割、男性が6割で、ほとんどが30代から40代です。また、約8割が地方で活躍されている方ですね。スキルとしては、まったくの未経験者からプロの方まで幅広いです。また、キャリアアップしていく人も多くいらっしゃいます。ある主婦の方は未経験者でもできる簡単な仕事からスタートして、仕事をこなしながらスキルを身に付け、いまでは大手出版社から指名をもらうプロフェッショナルなライターとして活躍されています。
ランサーズでは、クリエイティブ系の仕事はどのくらいあるのでしょう。
潮田 全体の3分の1ぐらいあります。そのほとんどが、ライティング、エンジニア、ウェブ制作です。ライティングの中でも、高いスキルが必要な記事制作、ディレクションを含む取材もあれば、簡単なアンケートに答える「タスク」と呼ばれるお仕事もあります。
発注される仕事に、なにか傾向はありますか?
潮田 現在、コンテンツライティングなどのライティング案件が急増しています。内容も多様化していて、専門知識を持つ人に書いてほしいというニーズもあります。今年7月に医療Q&Aサービス「Doctors Me」を運営するサイバー・バズと提携し、登録している医師がランサーズにスキルを登録することで、ランサーズを通じて専門知識を活かしたライティング案件を受けられるようになりました。
もうひとつは、アフィリエイト事業を展開するインタースペースとの提携です。インタースペースには約40万人がアフィリエイターとして登録しているのですが、すでにライティングスキルをお持ちのアフィリエイターもライターとして、仕事を受注可能になりました。
このようにスキルを持つ方たちとの連携を通して、ランサーズとしても幅広いコンテンツ制作案件に応えられるよう取り組みを進めているところです。
「仕事のしかた」についての考え方が変わりつつある
ランサーズが成長を続ける背景には、仕事を発注する側、受注する側の双方に「仕事のしかた」についての考え方の変化があったと思うのですが。
潮田 やはり、時代の変化は大きいと思います。個人で働くこと、時間と場所にとらわれずに、一人一人の働き方を尊重する風潮が出てきているのかなと思います。じつは、サービスが成長したきっかけのひとつに、2011年の東日本大震災がありました。家族とのつながりが見直されたり、停電で電車が動かなくなったことが「テレワーク」(※)が見直されるきっかけとなったのです。
2008年の創業当初は日本にないサービスだったので、「クラウドソーシングってなに?」みたいな状態でした。それが大震災をきっかけに、時間と場所にとらわれない新しい働き方として「クラウドソーシング」が注目され始め、ユーザー数も急激に増えていったのです。
2014年1月にはランサーズでの依頼総額が200億を突破し、そのわずか半年後には300億円を突破しました。クチコミ中心で広がっていった5年間でしたが、クラウドソーシングの認知度が高まっていると感じています。
今年5月には「クラウドソーシング協会」も設立されました。
潮田 クラウドソーシングという新しい市場を開拓するにあたって、健全にマーケットを広げられるよう活動していくために立ち上げた団体です。
矢野経済研究所は、クラウドソーシング市場の2014年の流通総額は408億円、2018年には1820億円になるだろうと予測しています。こうした成長が見込まれる中で、市場を開拓してきたトップランナーとして、新しい提案もどんどん打ち出していく予定です。
※「テレワーク」とは「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語。情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方を指す。(日本テレワーク協会の定義より)
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